〔タイ〕武田薬品、希少疾患の研究・治療改善を支援

アジア発の有効なビジネス情報を手軽にキャッチ!

武田薬品工業のタイ法人、武田タイランドは5日、患者数が少ない希少疾患の調査・研究や診断、治療の改善に向けて、国内の7つの医療機関や患者支援団体と覚書(MOU)を締結した。武田タイランドが同分野でMOUを締結するのは初めて。タイでは多くの希少疾患が存在する一方で、医療関係者や国民の希少疾患に対する意識は低く、誤診や死亡率も高いことから、現状の改善を図る。

提携先には、タイ医療協会(MAT)、タイ・アレルギー・ぜんそく・免疫学協会、タイ希少疾患基金などが含まれる。MOUの期間は5年で、◇希少疾患の調査・研究◇診断技術の改善に向けた支援◇医療関係者や患者向けの教育プログラム◇国民の希少疾患に対する意識向上に向けた啓発活動◇希少疾患に関するデータベースの構築支援◇政策策定の支援——などを実施する。

武田タイランドのピーター・シュトライブル社長は記者団に対して、「武田タイランドの設立50周年という節目の年に新たな事業を始められることを光栄に思う」とコメント。患者のニーズに応えることを最優先し、研究開発(R&D)に注力しているとした上で、「まずはタイ国民の希少疾患に対する意識を向上させることが重要だ」との考えを示した。

マヒドン大学ラマティボディ病院のドゥアンルディー医師によると、タイではこれまでに約300種類の希少疾患が確認されており、患者数は約5000人。ただ、患者本人が症状を自覚していないケースがあるほか、医師による誤診率も40%と高く、実際の患者数はこれを上回るとされる。希少疾患の8割が遺伝的要因とみられ、半数は幼少期に発症し、その3人に1人が5歳になる前に死亡しているという。

タイにいる希少疾患の専門医はわずか20人で、このうち19人がバンコクにいる。治療費や医薬品の購入費は国の保険制度の適用外となり自己負担になることから、適切な処置を受けられず命を落とすケースも多いとされる。世界には、約7000種類の希少疾患が存在するといわれている。筋肉の萎縮と筋力低下が進む筋萎縮性側索硬化症(ALS)や重篤なぜんそくなどが含まれる。

情報提供:株式会社NNA

アジア13カ国の拠点から、毎日300本の記事を有料で配信。現地の生きた経済・ビジネス情報を日々、素早く手軽にキャッチできる。現在7000社、約1万6000人のビジネスパーソンが活用。
https://www.nna.jp/corp_contents/infomation/2019/190802_nna/

この記事が気に入りましたか?

US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします

この著者の最新の記事

関連記事

Universal Mobile
資格の学校TAC
アメリカの移民法・ビザ
アメリカから日本への帰国
アメリカのビジネス
アメリカの人材採用

注目の記事

  1. キッコーマン うちのごはん 忙しくて食事の準備に時間はかけられないけれど、家族やお子...
  2. ニューヨークの古い教会 根を詰めて仕事をし、極度に集中した緊張の日々が続くと、息が詰まって爆...
  3. ダイナミックに流れ落ちるヴァージニア滝の落差は、ナイアガラの滝の2倍 カナダの北西部、ノース...
  4. アメリカでは事故に遭い怪我をした場合、弁護士に依頼することが一般的です。しかし日本にはそう...
  5. グッゲンハイム美術館 Solomon R. Guggenheim MuseumNew York ...
  6. 2023年2月14日

    愛するアメリカ
    サンフランシスコの町並み 一年中温暖なカリフォルニアだが、冬は雨が降る。以前は1年間でたった...
  7. キルトを縫い合わせたような美しい田園風景が広がるグラン・プレ カナダの東部ノヴァスコシア州に...
  8. 本稿は、特に日系企業で1年を通して米国に滞在する駐在員が連邦税務申告書「Form 1040...
ページ上部へ戻る