
パム・ヴァンホールトと
Photo © Yuki Saito
カリフォルニアワインの質と評価が、世界的に認知されたのは喜ばしい。しかしながら、高騰し続けるワインの値段が悩ましい。 そんな中で、高品質を保ちつつ、値段をリーズナブルに抑えたワイナリーを探し、日本の輸入元に紹介する仕事をしている。こちらのメガネにかなったワインを見つけると、オーナーやワインメーカーを訪問し、ヒアリングをする。その上で、彼らに相応しい日本でのパートナーを確保し、輸出する道筋をつけてあげるのだ。
選ぶ基準は、 単一品種(シャルドネ、ピノノワールなど)であれば、ブドウの個性とテロワールがしっかり表現されたもの、ブレンドワインなら、造り手の個性とバランスが良いものを探している。大手有名メーカーや、カルトワインという法外に高いワインは敬遠し、ワインの好きな人が、気軽にそして頻繁に楽しめるものが私のテーマだ。そんなワインの一部を紹介してほしいと、本誌より依頼を受けた。今月から、少しずつ紹介していこうと思う。

ヴァンホールトのラインアップ
Photo © Yuki Saito
初回は、Von Holt Wines (ヴォンホールト)という サンフランシスコ市内にある小さなワイナリー。夫婦がリタイアした後、立ち上げた。クリスは元シークレットサービス、パムは元ダンサーという変わった経歴の持ち主だが、ワインにかける情熱は本物だ。そのワインを手掛けるのは、ジョン・フォーンズ(John Fones)という元弁護士の醸造責任者だ。3人に共通するのは、ブルガンディー(ピノノワール、シャルドネ)とローヌ(ヴィオニエ、シラー)品種を愛し、適度に高い酸味と果実味のバランスの良い、デリケートなワインを好むこと。ブドウはソノマバレーの中でも、冷厳な一等畑から 買い付けている。彼らのワインに出会ったのは、数年前に出席した Family Winemakers of Californiaの試飲イベント。当時、某企業の顧問として、日本でのワインクラブの立ち上げに関与しており、質の高いシャルドネを探していた。数百の零細(家族経営)ワイナリーが出展している中で、ヴォンホールトのワインは別格だった。値段を聞くと、小売価格で$38という。高名な$65以上のワインと比べても、 まったく引けを取らない質だ。

Cellar 33 Pino
Photo © Yuki Saito
数日後、SFで彼らのワイナリーを訪問し、改めて味と質を確認した。ワインメーカーのジョンとも会い、ワイン造りの手法と考え方を聞いた。以来頻繁に蔵に通い、彼らのワイン造りを見守るとともに、新しいヴィンテージを試飲してきた。ぶれない味というのは、大切な要素だからだ。ソノマから収穫したブドウが到着する日には、ワイナリーに足を運び、運搬されたブドウの質を確認。彼らの丁寧な選別作業にも立ち会った。こういう時間を共有しながら3人の人となりと、日本に進出する夢が本物か、自分なりに観察してきた。そして、彼らの造るワインを順次日本に紹介している。今回紹介するワインは、アメリカでは直接Vonholtwines.comのウェブサイトで購入できる。ちなみにピノノワールとシャルドネはWine Enthusiastの90点台の高得点の他に、日本の国際ワイン品評会(Sakura Japan Women’s Wine Awards 2017)ではダブルゴールド、シルバーに輝いた。ワインメーカーのJohn Fonesの個別銘柄のホワイトブレンド(Cellars 33 The Betty 2015)もゴールドを受賞し、その質の高さが認められた。尚、セラーズ33のワイン(https://www.cellars33.com)も日本市場に紹介を始めた。
Von Holt Winesの推奨ワインと米市場価格は以下の通り。Suacchi Piot Noir $44(ダブルゴールド)、Sonoma Coast Piot Noir $35、Heintz Family Chardonnay $35(シルバー。白ワインだが、無濾過ワインなのでデカンタを勧める)、Viognier Tera Alta Vineyard $25(日本食や寿司との相性が抜群)、Syrah Halcon Vineyard $30(9月公開)、各種の辛口ロゼ$20。
また、Cellars 33お勧めワインは、 ローヌ品種のブレンドが美味しいThe Betty White Wine$26(ゴールド)、ロゼ$20及び各種ピノ$33-42。
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