第80回 ついに願書提出

2019年11月末、ニナの大学出願が終わった! これまでに何度か書いてきたように、アメリカの大学受験は高校に入ってからの3年間の成績(GPA)と、全国共通試験であるSATまたはACTの点数を大学に申請して合否判断を仰ぐシステムだ。

ジュニアも終盤になると、公立私立問わず全米の大学から「出願要請」のハガキやパンフレットが郵送されてくる。しかし、ニナはそれら、ほぼ州外からの「宣伝」には興味がないようで、「受けるのはUC(カリフォルニア大学)とカリフォルニア州立大学だけでいい」と言い続けた。州内の大学だけに焦点を絞ってくれるのは学費の面でも親としてはありがたいが(州外の大学に進むと割高の学費が適用される)、私は日本の大学も受験してほしいと望んでいた。

ニナがソフォモアの夏休み、東京郊外にある私の母校、国際基督教大学の広大で緑に溢れたキャンパスを見れば、「ここも受けたい」と気持ちが変わるのでは、と半ば強制的に見学に連れて行こうとした。「行こうとした」というのは現地まで行けなかったからで、最寄りの駅でバスを待っている間にニナに「やっぱり行きたくない。せっかく東京にいるんだから楽しい所に行きたい」と言われ、甘い私は大学行きのバスに乗るのをやめて、上野動物園に行き先を変えてしまったのだった。

大学に行くのは本人なので、親の希望を押し付けるわけにはいかないというのは頭では分かっている。しかし、私たち親がいつまでもアメリカにいるとは限らないし、我が家の場合はニナの兄がすでに日本で暮らしているので、気持ち的に「日本の大学も受けてほしい」という希望を抱いていた。これは駐在、永住に限らず、アメリカ育ちの子どもを持っている日本人の親なら理解してもらえるのではないか、と思う。

クリックするだけ

さて、日本の大学にはまったく興味を示してくれなかったニナは結局、本人の希望通り、UCとカリフォルニア州立大学数校を受験した。SATは3度受験、日本語と、たしかほかに2科目(覚えていない)のSATのサブジェクトテストも受験し、その最高スコアと科目別のGPAをインターネット上で出願サイトに記入し、UCの場合は8つのテーマの中から本人が4つ選んだエッセーを添付。エッセーの今年度のテーマは、「他者に影響を与えた、あなたがリーダーとして活躍した経験」「クリエイティブな側面」「もっとも顕著な才能とそれをどのように開発したか」「教育で直面した壁とその克服法」などで、これらからも分かるように、受験生のユニークな経験やスキル、リーダーシップアピールをすることが鍵となるようだ。さらに、アクティビティに関する記入項目もある。ボランティアやスポーツなどの課外活動についてアピールする項目だ。この項目で強い印象を与えることを目的に、子どもたちはせっせと奉仕活動に取り組み、運動、音楽、美術など多様な分野で「頑張った経験」の蓄積に励むのだ。

便利だなと思ったのは、UCを何校受けても出願内容は共通で、最後に出願するキャンパスをクリックして選ぶだけ。同じ大学システムの中においては、大学別の傾向と対策が必要ないのだ。受験費用も1校当たり75ドルと日本に比べると安い。また、さすがアメリカだと思わされたのは、生まれながらの性別とは別に「自分を男性、女性、どちらでもない、のどれだと認識しているか」と聞く質問があったことだ。

こうして出願を終えたニナは解放感を味わっている。あとは結果を待つだけだ。しかし、しつこい私はまだ間に合う日本の大学受験を本人にすすめてみようかとも思っている。おそらく断られるだろうけれど。

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福田恵子 (Keiko Fukuda)

福田恵子 (Keiko Fukuda)

ライタープロフィール

東京の情報出版社勤務を経て1992年渡米。同年より在米日本語雑誌の編集職を2003年まで務める。独立してフリーライターとなってからは、人物インタビュー、アメリカ事情を中心に日米の雑誌に寄稿。執筆業の他にもコーディネーション、翻訳、ローカライゼーション、市場調査、在米日系企業の広報のアウトソーシングなどを手掛けながら母親業にも奮闘中。モットーは入社式で女性取締役のスピーチにあった「ビジネスにマイペースは許されない」。慌ただしく東奔西走する日々を続け、気づけば業界経験30年。

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