バイデン大統領は2021年3月、新型コロナウイルス経済対策法案に署名し同法が成立しました。米国救済計画法は、経済の安定、雇用拡大の保護、パンデミックによる影響の緩和を目的とした大規模な支出パッケージです。ここでは法案の重要な要素の例を解説します。
企業への支援
650ページ近いこの法律は、経済活性化、中小企業その他特に被害の甚大な産業の支援を目的とした多くの条項が含まれています。米国救済計画法は、経済損害災害ローンへの資金を増額するとともに、一定の非営利団体・デジタルニュースサービスに対する、給与保護プログラム(Paycheck Protection Program)の第2ラウンドの資金提供を行います。また、同法は、2020年末に署名された前回の新型コロナウイルス救済立法で初めて承認された、芸術・芸術の場に対する助成金への資金援助を強化します。
同法には、レストランの支援専門の救済プログラム(Restaurant Revitalization Fund)が新たに盛り込まれており、対象となるレストラン、バー、フードスタンドその他関連する事業者に各最大1000万ドルの助成金が供与されます。助成金は、一定の基準に基づき、申請受付順に配布され、この業界の給与、ローン、賃料、維持費その他パンデミックの間に生じた費用に充てることができます。
さらに、多くの雇用者に関して、同法は、適格要件を満たす企業が支払った適格要件を満たす従業員の有給病気休暇について、給与税を100パーセント税額控除することを規定しています。この税額控除は、当初2020年3月に制定された家族ファースト新型コロナウイルス対策法(Families First Coronavirus Response Act)の措置を延長するもので、現在、新型コロナウイルスワクチンを接種するための従業員の休暇も、還付つき税額控除の対象となる有給病気休暇に含まれます。
住宅・住宅ローン・賃料・光熱費補助
パンデミックから約1年が経過し、何百万人ものアメリカ人が住宅ローン・家賃の支払いを滞納しています。連邦判事が米国疾病管理予防センター(CDC)の現行の立ち退きモラトリアムは、議会の権限の行使として違憲であると判断しました。住宅危機の可能性を受け、同法は、賃料・光熱費支援、立ち退き要求禁止措置、緊急家賃補助に450億ドルを提供します。この中には、住宅所有者の新型コロナウイルスによる経済的苦境の緩和、差押え・住宅ローン延滞・デフォルトの防止を目的とした100億ドル近い住宅所有者支援基金(Homeowner Assistance Fund)が含まれています。
このプログラムでは、パンデミックにより経済的打撃を受けた人々に対し、住宅ローン補助、住宅ローン遅延金返済の経済的支援、光熱費支払い補助、住宅所有者向け損害保険の保険料など一定の費用をカバーするための補助金が提供されます。同法は、賃料・光熱費支払いを含む緊急家賃補助に200億ドルを提供します。また、苦境に立たされたコミュニティに対して低所得住宅エネルギー支援プログラム(Low-Income Home Energy Assistance Program)などを通じて住宅のエネルギー代・水道代の援助に50億ドル近いプログラムなどを提供することにより、各州がクリーンエネルギー・省エネプロジェクトの投資を行うようにインセンティブを与えることを目指しています。しかし、同法は、連邦レベルの新たな住宅立ち退きモラトリアムは実施せず、CDCの命令を法典化して温存することはしませんでした。
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