日本への永住帰国、日本に住む親の介護・終活手続き ~どこで、誰に相談?〜

今後日本への永住帰国を考えている人や、日本に高齢の親がいて将来介護や相続手続きが必要となりそうな人から、相談や質問を受けることがあります。こうした日本側の手続きを「どの窓口で」行うか、また自分では対応できない場合「どの専門家」に相談や依頼をすれば良いかということを(なんとなく知ってはいるが)はっきりと理解している人は多くないようです。たとえば、税金については税務署が対応窓口であり、税理士、会計士が専門家であることは皆さんご存知ですが、そのほかの手続きになると悩んでしまいます。海外生活が長いので無理もありません。そこで今回は、日本の手続きの対応窓口と代行を依頼する場合の専門家を紹介します。

手続きごとの対応窓口(相談を含む)と専門家

次の表は日本への永住帰国と日本に住む親の介護・終活に関する手続きについてまとめたものです。

※ Social Security Administration(米国社会保障局)のこと

表の「専門家」の列は、報酬を得て手続きの代行が行える資格保有者を指します。「本人のみ」とある手続きは他者による代行が認められていないものです(法定代理人を除く)。空欄部分は特定の専門家が決められているわけではないので、誰でも相談や手続きの代行を行うことができます。ただし、いずれの手続きも専門的な内容ですので、相談や手続きの代行を依頼する場合は一定の知識や関連する資格を保有する人を探すことをおすすめします。また、手続きによっては専門家の範囲が厳密に定められていないものもあるので、表に記載されていない専門家が対応することもあります。

専門家の探し方

相談や代行の依頼をしたい専門家を探す方法ですが、人からの紹介というのが一般的です。専門家の中には不当に料金が高かったり、対応が不親切だったりする場合があるかもしれませんが、人からの紹介だとそうしたリスクは軽減されます。

紹介者がいない場合の探し方としては、メディア(新聞、雑誌、ウェブサイト等)に記事やコラム、広告を掲載している人を見つける方法や、各専門家の統括団体のウェブサイトで探す方法があります。統括団体とは、たとえば行政書士なら東京都行政書士会、社会保険労務士なら東京都社会保険労務士会というような資格保有者の所属団体のことで、多くの資格において都道府県ごとに設置されています(上部団体として全国会もあります)。そうした統括団体のウェブサイトへアクセスすると、「お近くの○○士を探す」というようなメニューがあり、登録されている資格保有者のプロフィールや連絡先を確認できます。なお、依頼の際は必ず費用を確認し、できれば複数の人から相見積を取り寄せたいものです。

自分で手続き行えます

ほとんどの手続きは自分でも行えます。必ず資格を持った人に依頼しなければならないという決まりはありません。ただ、専門的で分かりづらいもの、自分では提出書類が揃えられないもの、手間がかかり過ぎるものもあるため。代行手続きができる専門家がいるわけです。良い機会だから勉強を兼ねて自分で手続きしたい、専門家に支払う費用を抑えたいという考えをお持ちの人は、ぜひ自分で手続きしてみてください。具体的な手続き方法については、対応窓口のある機関へ行けばていねいに教えてくれます(多くの機関では要予約)。

★★無料オンラインセミナー(ウェビナー)のご案内★★

「日本への永住帰国〜帰国時の手続き」
●日時:8月29日(日)PST 4:00-5:30pm
●詳細・申込先Webサイト:www.life-mates.jp/0829K

この記事が気に入りましたか?

US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします

蓑田透 (Minoda Toru)

蓑田透 (Minoda Toru)

ライタープロフィール

早稲田大学理工学部卒業後、総合商社入社。その後子会社、外資系企業等IT業界で開発、営業、コンサルティング業務に従事。格差社会による低所得層の増加や高齢化社会における社会保障の必要性、および国際化による海外在住者向け生活サポートの必要性を強く予感し現職を開業。米国をはじめとする海外在住の日本人の年金記録調査、相談、各種手続きの代行サービスを多数手がける。またファイナンシャルプランナー、米国税理士、宅建士、日本帰国コンサルタントとして老後の日本帰国に向けた支援事業(在留資格、帰化申請、介護付き老人ホーム探し、ライフプラン作成、不動産管理、就労・起業、税務等の相談・代行)や、海外在住者の日本国内における各種代行、支援サービス(各種証明書の取得、成年後見など日本在住の老親のサポート)を行う。

●豊富な実績に基づくていねいなサポートで
ひっきりなしに持ち込まれるお客様からの国際手続きに関する多種多様なご依頼、ご相談(お悩み)を断り切れず休日返上で対応しているうちに、気がつけば(年金、日本帰国といった当初の事業以外の)あらゆる分野のノウハウを備えたオールラウンドコンサルタントに。当社で対応できないケースでも、的確な解決方法や提携先の他分野専門家を紹介します。

ホームページ:ライフメイツ(ライフメイツ社会保険労務士事務所)
 日本の年金・老後の帰国相談室
 コロナ対策助成金相談センター
 障害年金相談室(提携先)

この著者への感想・コメントはこちらから

Name / お名前*

Email*

Comment / 本文

この著者の最新の記事

関連記事

アメリカの移民法・ビザ
アメリカから日本への帰国
アメリカのビジネス
アメリカの人材採用

注目の記事

  1. ニューヨークの古い教会 根を詰めて仕事をし、極度に集中した緊張の日々が続くと、息が詰まって爆...
  2. ダイナミックに流れ落ちるヴァージニア滝の落差は、ナイアガラの滝の2倍 カナダの北西部、ノース...
  3. アメリカでは事故に遭い怪我をした場合、弁護士に依頼することが一般的です。しかし日本にはそう...
  4. グッゲンハイム美術館 Solomon R. Guggenheim MuseumNew York ...
  5. 2023年2月14日

    愛するアメリカ
    サンフランシスコの町並み 一年中温暖なカリフォルニアだが、冬は雨が降る。以前は1年間でたった...
  6. キルトを縫い合わせたような美しい田園風景が広がるグラン・プレ カナダの東部ノヴァスコシア州に...
  7. 本稿は、特に日系企業で1年を通して米国に滞在する駐在員が連邦税務申告書「Form 1040...
  8. 九州より広いウッド・バッファロー国立公園には、森と湿地がどこまでも続いている ©Parc nati...
ページ上部へ戻る