就職・転職のベストシーズンは?
- 2022年11月3日
早いもので2022年も残すところ2ヶ月をきり、ホリデーシーズン突入ですね。
「本年中の仕事探しは諦めた方がいいでしょうか?」
この時期に求職者の方から多く受ける質問とのひとつです。
今回はアメリカの就職・転職市場を、タイミングやシーズン的な観点から解説いたします。
1.ベースは通年採用
まず念頭に置いてほしいのは、アメリカでは通年採用が基本であるということ。[転職大国アメリカ] の記事内でも紹介した通り、ジョブ型雇用をとるアメリカの労働市場では、欠員に応じ採用を行ないます。
つまり日本でよく見られる、「○月〜△月が募集時期」といった期間設定はないということ。そして必要があれば、いかなる時でも企業は採用をするということ。
この2つは忘れないでいただきたいです。ただその中でも、シーズンごとに傾向があるのも事実です。以下にてそれぞれの季節の特徴を見ていきましょう。
2.シーズンごとの特徴
11月〜12月
この時期をアメリカでは、”ホリデーシーズン”と呼びますね。明確な日程設定はないですが、10月31日のハロウィンが終わると、瞬く間に街はホリデー仕様に模様替えされます。
月 | 行事 |
---|---|
11月 | Thanksgiving(感謝祭)丨11月の第4木曜日 当日から〜週末までの4日間、ほぼ全ての企業が休業 |
12月 | Christmas(クリスマス)丨12月25日 イヴの24日とあわせ、8割程度の企業が休業 |
この時期に見られる特徴は2つあります。
- 年末商戦にあわせた雇用増加
小売り業界の年間売り上げのうち30%〜40%を占めるとも言われる、アメリカの年末商戦。家族や友人へのクリスマスプレゼント購入の為、消費活動が盛んになります。中でも、感謝祭翌日のBlack Friday(ブラックフライデー)は最も盛り上がりますよね。
この年末商戦の需要にあわせ、小売業や物流業のシーズナルな人員補充が行われます。近年のオンラインショッピングの台頭に伴い、Eコマース関連のカスタマーサービス職やIT職もその対象となるでしょう。
- BtoC以外の業界での雇用縮小
一方でBtoC以外の業界やフルタイムのポジションは、雇用が縮小する傾向にあります。世の中全体がおやすみモードであり、里帰りなどで長期休暇をとる社員も多い為、採用活動含めビジネス全体がスローになるからです。
またアメリカでは日本と異なり、Fiscal Year(会計年度)をCalendar year(暦年)と統一し、12月締めとする会社が多いです。よって、事業計画・予算の面からも年内は採用を行わず、新年度まで待つケースが一般的です。
年明けまで待つ余裕があるという方は、来る「就職・転職のベストシーズン」に向け、レジュメの作成やネットワーキング、リクルーターと繋がる等、準備期間としてみてはいかがでしょうか。
1月〜2月
一年のうちで「就職・転職のベストシーズン」だと言われることが多いのが、1月〜2月です。上記で説明した通り、新たな会計年度に入り採用の準備が整う企業が多い為です。
1月はホリデーシーズンの尾を引く傾向にある為求人の投稿が増えるのみで、2月から面接の案内が届くなど、採用活動が本格化するはじめることが多いようです。
ひとつ留意しておきたいのは、競争率も同様に高くなるということ。上記は、indeedの調べによる求人検索数のグラフです。
スローなホリデーシーズン後、年が開けると求職者も動き出しているのが見て取れますね。
Mosterも同様に、2018年に最も求職者が仕事を検索した10日間は、1月に8日間(順に、23, 9, 22, 3, 18, 25, 8, 24日)、2月に2日間(7, 6日)あったとの調査結果を発表しています。
3月〜5月
日本ではこの時期、新年度のフレッシュスタートを切りたいという求職者・企業も多いかと思います。アメリカでは「新春」に対する強い意識はあまりないものの、以下の理由から依然として求人が一定数ある傾向にあります。
- 卒業シーズンにあわせた雇用
アメリカの卒業シーズンは日本と異なり、5~6月です。これにあわせ、優秀な人材を確保したい企業が積極的に人材確保に動き出す時期です。
また翌年のH-1Bビザの抽選時期を見込んだ場合にも、ちょうどよいタイミングと言えます。
- 日本の新年度にあわせた雇用増加
日本本社と繋がりが強い日系企業は、4月に行われる異動・人事編成にあわせて採用を行う企業も少なくないでしょう。
6月〜8月
アメリカのサマーシーズンは、長期のバケーションを取る人が多くいます。デシジョンメーカー(採用決定権のある人)がオフィスを留守にするケースもあり、採用活動もスローダウンします。
日系企業でも学校の夏休みにあわせ、家族で日本へ一時帰国をするという駐在員の方も多いと言えます。
9月〜10月
秋にあたるこの季節は、1~2月の次に就職・転職活動に最も適した季節だと言われています。再び雇用が拡大する理由を見ていきましょう。
- 再始動のシーズン
約3ヶ月のバケーションシーズンが終了し、ビジネスが再び軌道にのりはじめるのがこの季節。子どもたちも学校にもどり新しい学年を開始するのも9月です。
人々のモチベーションも高く、仕事の生産性も高い季節だと言われていますので、採用活動にも本腰が入るケースが多いようです。
- 緊急性の高い求人増加
来る年末・ホリデーシーズンに備えるという姿勢、またQ4(第4四半期)に入り予算が不足する前にリソースを確保したいという姿勢から、URGENT(緊急性が高く、そくじつ勤務開始を求める求人)が増加する傾向にあります。
冒頭でもお伝えした通り、アメリカは通年採用が基本です。またアフターコロナのジョブマーケットはイレギュラーな点も多く、通常とは異なる傾向も多く見られます。それらを念頭に置きつつ、シーズンごとの特徴を参考にいただければ幸いです。
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