日本のベーカリー文化を米国へ

TOP INTERVIEW アメリカ市場に挑戦する日系企業のトップに聞く。

2025年4月にロサンゼルスにグランドオープンしたBread, Espresso &。カフェ激戦の地で奮闘するH.I.S. U.S.A.の古座岩拓馬氏とパン製造指導の櫻井正二氏に日本のパンの手応えと今後の挑戦を聞いた。

H.I.S. Americas Inc. GMの古座岩氏(写真左)とパン製造指導の櫻井正二氏

アメリカ進出のきっかけ

日本国内で47都道府県への展開を進めてきた「パンとエスプレッソと」。株式会社エイチ・アイ・エスと株式会社日と々とのライセンス契約のもとH.I.S. Americas Inc.子会社のJapan Hospitality LLCが運営する「Bread, Espresso &」をレドンドビーチに米国1号店をオープンした。「観光や地方創生に力を入れるH.I.S.の考え方と、地域に根差した店舗展開を行ってきたブランドの世界観が重なった」とH.I.S. Americas Inc.の古座岩氏は振り返る。

北米1号店の場所選びは生活圏であること

アメリカ初の店舗はロサンゼルス近郊のレドンドビーチ。パンはアメリカの食卓に欠かせなく健康志向やアジア由来の味わいも受け入れられる土壌がある。そんな中、観光地依存度が高い市場よりは生活経済圏に根差した事業展開ができる立地を探したそう。近くにはフレンチ系ベーカリーなどもあり、マーケットがある所がポジションを築きやすく検証にも適しているとの思惑もあるそうだ。

日本の味をそのままに

2025年4月9日にグランドオープン。地元議員や在ロサンゼルス日本国総領事等を招いたリボンカットセレモニーも行われ、地域からの注目度は高かった。開業から約半年、「日本の味が楽しめる」と来店客から高評価を獲得している。「日本の商品ラインアップを基軸に無理なローカライズはしないが確かな手応えを感じている」とパン製造指導の櫻井氏は言う。塩味の感じ方など細部の嗜好差に調整を加えるが大きな改変は行っていない。「現地のお客様から“日本の味が美味しい”という声をいただけたことで自信につながった」と強調し、今後は日本のパンが独自性を発揮できるよう現地の声も取り込みながら進化・発展していく方針のようだ。

落ち着ける店内

競合との差別化戦略

ロサンゼルスは韓国・台湾系ベーカリーなどアジアブランドの激戦区だ。しかし「Bread, Espresso &」は冷凍供給や大量生産せず、職人が現場で焼き上げる点が大きく異なる。代表的なアイテム「Mou」などブランドを象徴する商品もあり、他では真似できないクオリティで勝負する。競合視するのはむしろ欧米系の高級ベーカリーであり、「別のポジションで存在感を発揮できる」と自信を見せる。

人気の代表的商品「Mou」

今後の展開についても「段階を追って着実に」を強調する。フィット感や市場性が確かな立地で複数店舗を展開し品質とオペレーションの再現性を確立、その上で東海岸など新たな地域展開を検討しているという。「始まったばかりなので再現性があり持続可能なモデルを見極めることが重要です」と古座岩氏は伝えてくれた。

消費者に真摯に向き合えば必ず評価される

アメリカ進出を考える日本企業へアドバイスを求めると、「日本で培った本物の味やサービスはアメリカでも必ず評価されます。自信を持って挑戦してほしい。ただし日本の発想では通用しない場面も多いので現地の消費者理解に真摯に向き合い、柔軟な対応力と積極的なコミュニケーションが必要ですね。」と櫻井氏はまっすぐな眼差しで答えてくれた。

無理なローカライズではなく、日本の品質をそのまま届けるという自信。「Bread, Espresso &」は「日本のパンの絶対的な魅力の提供」に、顧客の声を取り入れ現地に根付かせようという柔軟性を持つ。この2つの姿勢がアメリカ市場での成功を予感させる。

Bread, Espresso &
https://breadespressoand.toast.site/

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