「カウンターオファー」で、おさえておきたい3つのポイント

文&写真/菰田久美子(Text and photo by Kumiko Komoda)

このコーナーではアメリカのHR関連のお話や、ビザ等アメリカで働くために役立つ最新情報をご紹介しています。今回はカウンターオファーについてです。

1.カウンターオファーとは

最近日本での労働力の不足をよく耳にしますが、アメリカでも売り手市場が続いています。求人マーケットが活発になると、よりよい条件やステップアップを求め転職活動をされる方が多くなります。会社としては、経験豊富で優秀な社員が急に辞めてしまうと、大きな痛手をこうむることになります。空いたポジションを穴埋めするためにすぐに採用活動を行わなければならなりませんし、退職者の出る部署では日々の業務に加え大変な負荷がかかります。従業員が退職の意思を表した時、アメリカではカウンターオファーといって上司から引き留め交渉が行われることがよくあります。会社に留まる代わりに、給料のアップや昇格など、より良い条件を会社が提示します。こうした引き留め交渉をカウンターオファーといいます。


2.会社がカウンターオファーを提示する理由

退職を申し出た途端にカウンターオファーが提示される一番の理由としては、仕事で高い評価を得ていることがあげられるでしょう。会社にとって必要な人材であればあるほど、カウンターオファーが提示されることが考えられます。また、専門職など代わりの人を探すのに大変な労力が必要な場合にもカウンターオファーが提示されるケースは多いでしょう。


3.カウンターオファーを出されたらどうするか

ではカウンターオファーを提示された場合、どうしたらよいでしょうか。退職の決定は簡単に出した結果ではないはずです。ただし、魅力的な昇給や昇格を提示されたら、気持ちが揺れるのも人間として当然のことです。そんな時には、なぜ自分はその会社を辞めたいのかもう一度冷静に考えてみるとよいでしょう。退職を決意するには、必ず理由があるはずです。仕事内容、人間関係、職場環境、待遇面等が多くあげられる理由です。カウンターオファーで提示された条件で、ご自身の転職理由が解決できるのかどうかを考えてみることが必要です。

退職の理由が仕事内容や人間関係の問題であれば、待遇面だけがよくなっても、もしかしたら何の問題解決にはならないかもしれません。一方、退職の理由が待遇面であれば待遇がよくなれば、大いに検討の余地があるでしょう。ただし、その会社で退職を申し出たという事実は消すことができません。同じ環境でモチベーション高く勤務を続けることができるかを一度しっかり考えてみることが必要かと思います。

カウンターオファーを出されて、受けるか受けないかは最終的にはご自身の判断となります。目先の条件だけではなく将来のキャリアを見据えて判断することが大切です。話しやすい上司であれば、納得のいくまで話し合いを持ってもよいでしょう。留まるか、転職するか。自分にとって何がベストな解決方法なのかじっくり考えてみましょう。

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菰田久美子 (Kumiko Komoda)

菰田久美子 (Kumiko Komoda)

ライタープロフィール

人材紹介・派遣会社、QUICK USA, Inc.のマーケティング企画室マネージャー兼キャリアコンサルタント。日本の大学卒業後、IT、広告代理店を経て留学のため渡米。2002年QUICK USA, Inc.入社。これまで多くの求職者に対してアメリカでの転職および就職のサポートを行ってきた。求職者であった時の初心を忘れずに、常に求職者の立場に立った適切なアドバイスを提供できるよう心がけている。2015年、マーケティング企画室創設に伴いマネージャーに就任。同社の広告、ウェブ、SNS戦略を拡大。イベントへの参加、セミナーの開催なども積極的に行っている。

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