トランプ政権によるH-1Bビザへの影響

文/デビッド・シンデル(Text by David Sindell)

今年も2019年度新規H-1B申請開始日が近づいてきましたが、昨年4月に受け付けされた2018年度の新規H-1B申請に対しては、多くの申請審査に質問状が発行されたり審査に時間がかかったり、また多くのケースが却下されるなど、その厳しさが目立った年度であったことは記憶に新しいところです。

2017年11月時点の移民局データでは、前年の2倍以上の新規H-1Bケースが却下されたという数字もあります。このことからトランプ政権の公約にも関連すべく、外国人雇用の機会が削減される現象が見え始めてきている結果ともいえるでしょう。

そのほか、2017年11月時点の関連データによると、全体の17.6%(3万445件)の新規H-1Bが却下となっており、前年の同時期が7.7%であったことを考えると相当に増えている計算となります。さらに質問状発行についていえば、2017年11月までの全申請に対して、半分近くの申請に質問状が発行されたようです。

これらの状況を受け、移民局ディレクターであるLee Francis Cissna 氏は、「これはアメリカ移民システムの完全性を保つためで、この質問状の発行により遅れが出ていることは理解しているが、質問状を発行し、その返答内容を確認することでより正しく認可審査が導き出されている」と述べています。

しかしながら、実際、発行された質問状に対して300〜400ページにものぼる返答書を提出したとしても、どのようなケースが認可され却下されるのか、明確な規則性が見当たらないともいえます。あえてその根拠として挙げるとすれば、オファーされている給与額はいくらなのか、会社の業務状況や歴史はどうか、ビザ受益者の学歴や職歴はどうか、申請上のポジションはH-1Bで求められる専門職であるか等々、移民局の確認したいポイントは大まかに見てとることはできます。

ただ、その前の年まで問題なく認可されていたケースでも質問状を多く受けているのが実情です。たとえば弊社では、会計士やシステムアナリストがなぜH-1Bの条件でもある大学学士号を必要とするポジションなのか、それらはなぜ専門職といえるのか、という首をかしげたくなるような主旨の質問状も受けています。ちなみに弊社で受けた質問状の内容について、その多くがすでに質問状を受ける前の最初の申請書の中で議論している内容のものをあえて質問状で聞いていることもまた、今回の特徴かもしれません。

別の記事でも紹介しましたが、トランプ政権はプライオリティ・システムとして、抽選対象となる新規H-1B申請の仕組みに修正を加えることを提案しており、H-1Bの有資格者条件も見直しを加えようとしています。

これらの状況を受け、多くの企業や個人がH-1B申請に躊躇を示し始めているのも事実です。今年の新規H-1Bの申請数がどうなるのか、審査がどのような厳しさとなるのか、現状では申請方法等は昨年と変わりはありませんが、今後に注目です。

※上記、データ等は「San Francisco Chronicle」の記事が元になっております。

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デビッド・シンデル (David Sindell)

デビッド・シンデル (David Sindell)

ライタープロフィール

NY州およびNJ州弁護士資格。外国法事務弁護士(外弁)として東京第2弁護士会所属。アメリカ移民法弁護士協会所属。日本語、フランス語に堪能。

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