【ニューヨーク不動産最前線】
Re: Buying Power

長年続いていた低金利時代が終わり、昨年から急激に金利が上昇しました。金利が上がったので物件が売れなくなったとよく言われますが、では実際にはどのくらいの影響があるのでしょうか。

50万ドルの物件を頭金20%(10万ドル)で金利3%、30年固定ローンで購入する場合、毎月銀行に払うのは1,686ドルです。金利が6%になった場合は毎月の支払いが2,398ドルとなり、月に712ドル増えてしまいます。年間ではその12倍、30年では……と考えるのが嫌になってきますね。

同じ物件で、毎月の支払額を金利が3%だった時と同じにするには、頭金の金額は10万ドルで固定したとして、金利が6%の場合は物件価格が38万ドルまで下がれば月支払額が1,686ドルと同じになります。モーゲージを取る前提だと、1年前なら50万ドルの物件が買えたのに、今は38万ドルの物件しか買えないことになってしまいます。

100万ドルの物件の場合はすべてが約2倍となり、1年前に頭金20%(20万ドル)で金利3%、30年固定ローンで毎月の支払額3,373ドルだったディールが、金利が6%になると、頭金の金額を20万ドルで固定した場合に毎月の支払額を3,373ドルにするには、物件価格を76万ドルに値下がりしなければなりません。

このようにモーゲージの金利を元にした単純計算では、1年前と比べるとBuying Powerが25%程度落ちていることになります。逆に売り手側からすると、売値を25%下げなければ売れないということになりますが、実際にはマンハッタンの場合7〜10%程度の値下げにとどまっているため、結果的に売却のスピードは落ちています。

とはいえ、歴史的にはまだ米国の金利はそこまで悪くないと言えます。私が最初にニューヨークでアパートを購入した2002年当時のモーゲージは金利7.5%でした。それでもその当時は周りから金利が下がって良かったねと言われたものです(笑)。その数年前までは10%以上だったし、90年代は15%以上という時代もあったようです。

ただし、現在は当時とは比べ物にならないくらい物件価格が上昇しているので、一概に金利の数字だけで比較できないとは思います。それと、一度低い金利に慣れてしまうと、いくら昔よりはマシと分かってはいても感情的には損をしていると思ってしまいますね。

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柏原知子 (Tomoko Kashihara)

柏原知子 (Tomoko Kashihara)

ライタープロフィール

大阪女子大学(現:大阪府立大学)卒業後、CBRE Japanに入社。東京で外資系企業のオフィス移転を担当する商業不動産ブローカーとして働いた後、ニューヨーク勤務を機に住宅ブローカーに転向。1999年より住友不動産販売NYで活躍した後、2021年に米系大手Compassに移籍。趣味は旅行、クルーズ、トレッキングとイタリア語。

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