StreetEasy、エージェントは誰が選ぶ?

文・写真/柏原知子(Text by Tomoko Kashihara)

ニューヨークで不動産を探すなら、StreetEasyを利用する方は多いと思います。私自身もリスティング・エージェントとしてStreetEasyも利用しています。だからこそ、最近のStreetEasyの仕組みについて、気になることがあります。

それは、StreetEasyで私の物件に興味を持ったバイヤーが、なぜ直接私に連絡できないのだろう?ということです。

もちろん、リスティング・エージェントがセラーとバイヤーの両方を担当するデュアル・エージェンシーには、利益相反の問題があります。バイヤーが自分の利益を守るために、独立したバイヤー・エージェントを選ぶことはとても大切です。私が問題だと思っているのは、そこではありません。

以前は、バイヤーにはすでに信頼するバイヤー・エージェントがいて、そのエージェントがStreetEasyを含めたプラットフォームで物件を探し、興味のある物件についてリスティング・エージェントに問い合わせる、というのが一般的でした。これは非常に自然な仕組みです。

バイヤーは自分でエージェントを選び、そのエージェントはバイヤーの希望や予算、事情をよく理解している。そして、そのエージェントがリスティング・エージェントとプロとしてやり取りする、という仕組みです。

ところが現在は、StreetEasyで物件に興味を示したバイヤーが、リスティング物件について問い合わせをしようとすると、その問い合わせがStreetEasyから第三者のエージェントに回され、そのエージェントがバイヤーを担当するという仕組みに変わっています。

そのエージェントは、本当にそのバイヤーのことを知っているのでしょうか?

ほとんどの場合、そのエージェントはバイヤーとは初対面です。バイヤーの希望も、予算も、購入事情も十分に知りません。そして、バイヤーが興味を持って問い合わせた物件についても何も知らないというケースが少なくありません。それでも、そのエージェントがバイヤーの代理人として交渉することになります。私が疑問に感じるのは、まさにここです。

問題は、リスティング・エージェントがバイヤーを直接担当することではありません。問題は、バイヤーが自分で選んだわけでもなく、バイヤーとの既存の信頼関係もないエージェントが、StreetEasyから問い合わせを受けたという理由で、そのバイヤーの代理人になることです。

不動産取引は、単に物件と人をマッチングすれば終わるものではありません。大きな金額が動く取引だからこそ、私は最終的には、「誰が誰を担当するのか」よりも、「その関係がどのようにして築かれたのか」が大切だと思っています。

StreetEasyが便利なプラットフォームであることに変わりはありません。でも、これからの不動産業界では、プラットフォームが顧客とエージェントの関係を決めるのではなく、バイヤー自身が信頼できるエージェントを選べるという本来の形に戻ることが、大切になっていくのではないでしょうか。

不動産で本当に大切なのは、プラットフォームではなく、人と人との信頼関係だと私は思います。

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柏原知子 (Tomoko Kashihara)

柏原知子 (Tomoko Kashihara)

ライタープロフィール

大阪女子大学(現:大阪府立大学)卒業後、CBRE Japanに入社。東京で外資系企業のオフィス移転を担当する商業不動産ブローカーとして働いた後、ニューヨーク勤務を機に住宅ブローカーに転向。1999年より住友不動産販売NYで活躍した後、2021年に米系大手Compassに移籍。趣味は旅行、クルーズ、トレッキングとイタリア語。

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