在宅勤務、どうですか?

新型コロナウイルス(COVID-19)の影響で、私たちが当たり前だと思っていた身の回りの景色が一変しましたね。私の住むテキサス州ダラスでも、3月23日にShelter in place(外出禁止令)が発令され、不要不急の外出はできなくなりました。先日スーパーに出かけたのですが、いつもなら渋滞している時間帯でも車道はガラガラで、今日はお正月か?と思うほど。渋滞がないのは嬉しいけれど、まるでゴーストタウンのような町並みを見ると、ちょっと複雑な思いです。早く状況が改善してくれるといいですね。

さて、この流れに沿って始まったのが在宅勤務です。私が勤める会社でも、2週間前から始まりました。皆さんは在宅勤務、賛成派ですか? 実は私はあまり在宅勤務に良い印象を持っていませんでした。なんとなく怠けてしまう気がするし、チームのコミュニケーションもスムーズにいかないだろうし、部下がきちんと仕事しているのかが見えないし……。弊社では1年前から在宅勤務もOKとなったのですが、私はあえて出社を続けていました。でも今回は勝手が違います。有無を言わさず社員全員が強制実施です。さて、一体どうなるのか? 興味半分・不安半分で、初の在宅勤務がスタートしました。

最初は「よし、今まで溜まって後回しになっていた仕事を片づけられるかも」なんて思っていたのですが、とんでもない! 思ったよりも忙しい。下手したら、普段のオフィス勤務よりも忙しい気がします。まずはメール、IM(インスタント・メッセージ)、電話会議、TV会議の量が倍増。チャットメッセージも、送信者はこちらの忙しさが見えないので、お構いなしにばんばんメッセージを送ってきます。それに1つ1つ返事をするのがまた大変。5人の相手と並行チャットをするなんてことも……。在宅勤務で怠ける部下がいたら困るなあ、と以前は思っていたのですが、これでは怠けているヒマもありません。実は思ったよりも忙しい!というのが新発見でした。

勤務時間についても在宅勤務は一長一短です。通勤時間が短縮された(というか、ない)ので、朝起きて顔を洗ったらハイ仕事!とできるのは、正直とても魅力的です。ノーメイクで部屋着のまま仕事をしても誰も文句を言わないし。でも実は仕事を終えるのが大変。よし今日はここでストップ、と意図的に区切りをつけないと、延々と仕事ができてしまいます。私個人の経験でいうと、勤務時間は確実に延びたような気がします。

自宅でも仕事に集中できるのか?という心配は杞憂に終わりました。テレビを見てしまうかも、などと思っていましたが、思いのほか仕事に集中できます。また、オフィス内だと席に人が立ち寄るたびに作業を中断して会話し、また作業に戻る……という動作が発生しますが、家ではそんなことはありません。ひっきりなしに送ってくるチャットメッセージも、「この時間は邪魔してほしくない」という時はブロックをかければ入ってこないので、仕事に集中することができます。これも、実際に在宅勤務をしてみての新鮮な発見でした。

在宅勤務が始まって1週間ほど経った頃に、在宅勤務に関する部署内アンケートを実施したところ、興味深いデータが出ました。以前は在宅勤務に否定的な意見が多かったのですが、今回実際に体験してみると、メンバーの86%が在宅勤務に肯定的との回答をしました。主な理由は「自分のペースで仕事ができる」「通勤時間が大幅に短縮できる」「家族との時間が増えた」など。また、「コロナウイルス終焉後も、在宅勤務を取り入れたいか」という質問に対しては、72%がYesという回答でした。実際に在宅勤務を体験したことで、以前のイメージとは異なった発見があったようです。私も今回の経験を通して、在宅勤務ならではのメリットを見いだせたような気がします。

では、今後私は在宅勤務を取り入れるのか? うーん……私はやっぱりオフィス派ですかね。直接会って話すのは、何ものにも代えがたいものがあると思います。古い人間なのかもしれませんが。皆さんはいかがですか?

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北村祐子 (Yuko Kitamura)

北村祐子 (Yuko Kitamura)

ライタープロフィール

在米23年。津田塾大学を卒業後に渡米し、ルイジアナ大学でMBAを取得後、テキサス州ダラスにある現在の会社で勤務すること20年目。ディレクターとして半導体関係の部品サプライチェーン業務に関わるかたわら、アメリカで働く日本人女性を応援しようと日々模索中。モットーは、「鳴かぬなら 鳴かせてみせよう ホトトギス」。

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