【ニューヨーク不動産最前線】
不動産業界が活動再開

ニューヨークでは劇的に感染者・死亡者が減って、いよいよ6月22日からニューヨーク市の外出制限が第2段階オープンと決まりました(*ニューヨーク州の段階的解除については文末をご参照ください)。不動産業界はフェーズ2に入っているので、私たちもいよいよ活動開始です。マスク着用とソーシャル・ディスタンシングは義務付けられていますが、ショーイングやミーティングもバーチャルではなくリアルでできるようになります。

外出制限中は各所から、これから物件の家賃や売却価格が下がるのではとの予想やお問い合わせがたくさんありました。3月以降は物件がマーケットに出なくなり、今まで出ていたものはマーケットから下げるかそのまま保留されていたので、実質マーケットが凍結状態にあり、実は家賃も売り出し価格も下がっていませんでした。値段が下がるかどうかは実際にマーケットがオープンするこれから明らかになってきます。

さて、どうなるのでしょうか。過去の傾向として、ニューヨークの場合は経済が停滞してきた時には、募集賃料や価格は下げずにほかのところで値引きをするというのが常套手段でした。具体的には、賃貸の場合はレントはそのままで、1〜2カ月間フリーレント(家賃の支払い免除)にするケースです。これだとマーケット上のレントは変わらずに実質賃料は下がったことになります。マーケットがすぐに戻るだろうという貸し手側の希望と予測のもとに、見かけ上家賃は下げないという、ニューヨークの強いマーケットを反映した方法です。

売買の場合も同様に、募集価格は下がっていなくても実際に交渉を始めてみると思ったより柔軟に対応してくれたという状況もあります。やはり実際の価格は下がったということになります。このように、マーケット上の数字は下げずに裏で調整をして実質価格を下げ、その間にマーケットが回復するのを待つというやり方が主流でした。

ただし、今回のケースが今までと違うのは、物件の賃貸、購入の対象となるニューヨークの人口が増えないのではないかという懸念があることです。このままずっと自宅勤務を続行すると決めた企業も多く、ニューヨーク市内に物件を持つ必要性が減っています。加えて、トランプ政権で米国が外国人の新規就労ビザ発行を凍結しており、新規で入国してくる人が減っています。実際私の周りでも、ビザ待ちで渡米を延期しているうえ、さらにいつニューヨークに来られるか分からないというお客様がたくさんいます。

需要が減ってくると、マーケットが崩れるのは容易に想像できます。さらに今まで止まっていた新築物件の供給も始まると、ますます供給過多になる可能性は高まります。見かけ上の数字を下げずにマーケットが回復するのを待つというやり方が、今回はどこまで続くかということに注目です。

*第1段階:建設業、製造業、卸売業、一部の小売業、農業、林業、水産業
*第2段階:専門サービス、金融・保険業、小売業、事務職、不動産
*第3段階:レストラン、飲食サービス、ホテル
*第4段階:芸術、エンターテーメント、レクリエーション、教育

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柏原知子 (Tomoko Kashihara)

柏原知子 (Tomoko Kashihara)

ライタープロフィール

大阪女子大学(現:大阪府立大学)卒業後、CBRE Japanに入社。東京で外資系企業のオフィス移転を担当する商業不動産ブローカーとして働いた後、ニューヨーク勤務を機に住宅ブローカーに転向。1999年より住友不動産販売NYで活躍した後、2021年に米系大手Compassに移籍。趣味は旅行、クルーズ、トレッキングとイタリア語。

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