富士通、ユニックス向け半導体開発を強化 〜IBMの独占状態を打破へ

 富士通は、ユニックス(Unix)サーバー市場向けマイクロプロセッサー「スパーク64(Sparc64)」の開発を今後も強化する方針を打ち出した。その背景には、IBMの行き過ぎた市場優位を打破しようとする狙いがある。富士通のサーバー事業責任者である豊木則行執行役員常務が明らかにした。

 コンピュータワールドによると、豊木氏は、オラクル・オープンワールド(Oracle OpenWorld)会場で同誌の取材に答え、IBMにはメインフレームという高利益事業があり、IBMがそれに加えてユニックス市場で独占を続けるとなると企業向けサーバー業界と顧客企業の双方に好ましくない状況を招くと指摘。「顧客が最大限の価値を得るためには、顧客に選択肢があることが重要」と述べた。

 調査会社IDCの調べでは、IBMはユニックス市場の過半数を独占する。

 富士通とオラクルはそれぞれスパーク・プロセッサーを開発するほか、システムの共同開発や、製品の相互再販で提携関係にある。

 90億ドルといわれるユニックス・サーバー市場だが、最近では縮小も指摘される。しかし豊木氏は、複数のRISCアーキテクチャーをサポートするだけの規模はあるという考えを示した。

 同氏はまた、スパーク64が日本のスーパーコンピュータ「京」に搭載されていることに言及。富士通は「プロセッサー開発に取り組む最後の日本企業だ」と述べ、日本で開発を続ける意義を説明した。

 富士通は、最新のスパーク64Xプロセッサーを搭載したM10ユニックス・サーバーを2013年初めに市場投入した。豊木氏によると、2014年上半期には同プロセッサーの更新版としてスパーク64Xプラス(Plus)の顧客向け出荷を開始する。

 スパーク64Xプラスでは、クロック速度が最大3.5ギガヘルツに向上されるほか、オンチップ・アクセラレータを搭載し、暗号化などの処理を高速化する。

 また、富士通独自技術のコヒーレント・メモリー・インターコネクト(CMI=Coherent Memory Interconnect)を採用し、スケール・アウト・クラスターの待ち時間の大幅削減を図る。

 豊木氏によると、CMIによってオラクルのリアル・アプリケーション・クラスター(RAC=Real Application Clusters)技術の高速化も可能になることから、オラクルは、自社システムにCMIを採用する計画だ。

 同氏はさらに、スパーク64XとXプラスに続く「スパーク64XI」について、20ナノメートル加工処理技術を初めて利用する可能性があると述べた。

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