人種の垣根を越えて:コロナウイルス禍で活躍するアジア系アメリカ人

医療、ビジネス、そして教育分野で働くアジア系アメリカ人は、2020年国勢調査で一人ひとりを正確に数えることの重要性を身をもって示している。

5月はアジア・太平洋諸島系(AAPI)米国人の文化遺産継承月間にあたり、例年は個人や団体の活躍を通して、多様なアジア系アメリカ人コミュニティがもたらす影響力の広がりを讃えてきた。しかし今年はこれまでにない重みがある。例年通り、AAPI米国人の文化遺産継承月間にはアジア系アメリカ人コミュニティの地位向上に貢献した人たちを称賛しているが、それに加え、多くの団体がコロナウイルス禍においてアジア系コミュニティに献身的に尽くしている人たちの栄誉を讃えている。

医療従事者への謝意

Photo from Asian Health Services

医療従事者や事業主、教育者は文字通り社会に必要不可欠な「エッセンシャルワーカー」で、世界的な危機にあって現場の最前線に立ち、アメリカ経済を維持するために経験したことのない新しいやり方に適応しようとしている。この国のあらゆる地域でアジア系アメリカ人は住民に対して十分な食料を確保し、命を救い、学生を支援している。

アジア系アメリカ人の医療従事者たちは、現在の状況下で人々が複雑な医療制度を利用できるように支援している。文化的背景を生かし、彼らは患者に向けて新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する正確な情報をさまざまなアジア系言語で伝えている。

2019年のCPSデータによると、病院で働くアジア系アメリカ人の割合は9%。彼らは患者を支えるために自分の持ち場でできる限りのことを行っていルガ、どうにもならない隔たりがあることも認識している。

「アジア系アメリカ人と太平洋諸島民の一部の人たちは、このコロナウイルス禍において、他の民族グループと比較して不均等に影響を受けています」と、家庭医でもありNational Council of Asian Pacific Islander Physicians (NCAPIP)の会長を務めるウィンストン・ウォン医師は言う。

だからこそ、ニューヨーク大学医学部のナディア・イスラム助教は、地域の医療従事者が支援を必要とする人たちへ手を差し伸べる上で鍵となる、と信じている。文化的背景や経験を同じくし、地域への理解が深い人たちだからだ。

「地域の医療従事者は、コミュニティと医療システムをつなぐ役目を担っています」とイスラム助教は述べている。「新型コロナウイルスの感染が広がる中で、彼らは地域の人たちに対し文化的に適切なリソースや情報を届ける上で極めて重要な役割を果たしています。また、感染拡大が引き起こす不安を軽減したり、コミュニティが被るかもしれない汚名を取り除く助けをしたりする役目も担っています」。

事業主たちへの謝意

Photo from Good Good Eatz

アジア系が経営する小規模事業者は、National CAPACDのようなコミュニティの発展を支える組織の支援を得て、新たな試みに次々と挑戦している。全国にある会員組織は地域の家族経営ビジネスをさまざまな面から支援しており、ソーシャルメディアを活用して知名度を高めたり、オンラインのポップアップストアを開設したり、店先での受け取りを実施するためのオペレーションを回したり、地元の組織と提携して支援を必要とする人や医療現場で働く人たちに食事を届けたりするための支援を行っている。

「こうした事業主たちは危機の中でも驚くほどの柔軟性を示し、日々の営みを維持しています。会員組織はそれぞれの事業がこの危機を乗り越えられるように尽力してします。彼らのような小規模事業なくしては、私たちの住むコミュニティは決して同じではいられないからです」と言うのは、National CAPACD経済的エンパワーメント担当ディレクターのジョイス・ピスナノン氏。「私たちのコミュニティの正統性、独自性そして豊かさを失うリスクにさらされています」。

小規模事業者は地域経済の屋台骨だ。全米の経済活動のうち44%を占め、正味新規雇用のうち3分の2を生み出している(出典:Small Business Administration)。Annual Survey of Entrepreneurs 2016年版によると、全国でアジア系アメリカ人が経営している事業は55万5千件あるが、新型コロナウイルスの影響を受け危機に直面している。このような事業の多くはAAPIコミュニティの支柱でもあり、National CAPACDをはじめとするさまざまな組織が現状に適応するための支援を行っている。

教師たちへの謝意

Photo from Teach for America

多くのアメリカ人がリモートワークへと移行したように、教師たちもまた教室をオンラインに移すことを余儀なくされ、バーチャルな環境で教えることに適応している。さらに、現在の状況を理解しようとがんばっているこどもたちに対しても情緒面でのサポートを行っている。

「(教師たちは)普通の生活が奪われてしまった今、生徒たちにとって少しでも日常を取り戻そうとしています。しかも、教師たち自身も悲しみ、ストレス、不安を抱え、また人種に起因するトラウマのある中で、生徒たちに希望と安心感をもたらそうと努めています」と、Teach For Americaの全米コミュニティアライアンスチームのサラ・ハ副代表は言う。

アジア系アメリカ人教師は、みずからがアジア系生徒のロールモデルにもなっている。調査によると、生徒は自分と似たようなアイデンティティや境遇の教師を持つと成績が向上することもわかっている。それにもかかわらず、全国でみるとアジア系アメリカ人、ハワイ原住民、太平洋諸島民(AANHPI)の教師はわずか2.5%に留まっている(出典:Teach For America)。

学校において教師が生徒のアイデンティティを正しく反映することの重要性を認識するため、Teach for Americaはアジア系アメリカ人教師を育成する取り組みを立ち上げた。取り組みに参加するAANHPIの教師は7%に達し、全国平均を上回っている。AANHPIの教師の数が引き続き増えていくことを目標にしている。

2020年国勢調査が病院、事業、学校にとって大切な理由

コロナウイルス感染症の患者数が増え続ける中で、公衆衛生は危機に瀕しており、医療の最前線にいる人たちはアジア系の人口を正しく集計することの重要性を日々感じている。

国勢調査のデータがあると、地域に必要な病床数や医療機器を判断するなど、万全な救急医療体制を維持することにつながる。また、人口統計データは医療機関、病院、医療システムが公衆衛生の一大事に対して、その対応を改善することに役立つ。NCAPIPのウォン医師は、正確な国勢データは「私たち全員の健康を守る基盤となります。正確なデータがあると、一番必要とするところにリソースを配分できるからです」と述べている。

地域の組織は、国勢調査のデータを基に、重要な情報の記された資料の翻訳や通訳サービスの必要性を判断することができる。また、人種や民族に関する詳細なデータは、それぞれのコミュニティにおいてどの人種グループがより高い感染率を示しているのかを特定でき、医療分野がソリューションを策定する際に役立つ。

たとえば、「ここニューヨーク市では、アジア系アメリカ人のコミュニティが新型コロナウイルスに関してもっとも大きな被害を受けたにもかかわらず、市全体のデータでは、アジア系アメリカ人のリスクはもっとも低いとされています。私たちは市のデータが現実を反映していないことを肌で感じています」とイスラム氏は言う。同氏は、この乖離はニューヨークに住むアジア系アメリカ人に関する正確なデータが不足しているからだと考えている。

「国勢調査で正確な人数を数えることは、教育者がこどもたち一人ひとりのニーズに対応し、またこどもたちの置かれた不平等な状況を是正するために必要となる重要なリソースを整備する上で、重要な第一歩です。全員を正しく数えることは、すべてのこどもとその家族にとって、自分たちの健康と福祉に極めて重要となる取り組みやサービス、リソースに連邦および州の予算が確実に公平に配分されることにつながります」とハ氏は述べている。

一人ひとりができること-2020年国勢調査で自分を数えよう

新型コロナウイルス禍において、医療従事者、事業主、教師たちが私たちのコミュニティで果たす役割はこれまで以上に重要なものとなっている。アジア・太平洋諸島系米国人の文化遺産継承月間に一人ひとりが2020年国勢調査に回答することが、こうしたエッセンシャルワーカーに資することになる。国勢調査に回答するとコミュニティの人口が正確に数えられ、人数に見合ったリソースやプログラムを獲得でき、正しい議席配分が行われ、連邦予算も適正に配分されるなど、結果的にコミュニティを支援することにつながる。

国勢調査には、my2020census.govにアクセスしてオンラインで回答するか、電話または郵送で回答が可能。詳しくはhttps://2020census.gov/ja.htmlへ。

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