サッチャー氏、日本に不満 フォークランド紛争時

 【共同】アルゼンチンが英領フォークランド(スペイン語名マルビナス)諸島に侵攻した1982年のフォークランド紛争で、英国のサッチャー首相(当時)がアルゼンチンへの経済制裁をめぐる日本の対応に不満を示し、鈴木善幸首相(同)に強い調子で方針転換を迫っていたことが7日までに、分かった。

 英公文書館が当時の外務省機密文書を公開した。アルゼンチンには当時、3万人超の邦人・日系人がおり、経済協力が進められていたことなどから、日本は欧米の制裁に加わらなかった。英側には、欧米の制裁をよそに日本が貿易を拡大するのではないか、との警戒感もあったとみられる。

 公開された文書などによると、サッチャー氏はアルゼンチンが同諸島を占領した5日後の82年4月7日、同国からの輸入停止などを求める親書を鈴木氏に送付。鈴木氏は返信でアルゼンチンの占領に遺憾の意を示したが、経済制裁の実施には否定的な考えを伝えた。

■帰属問う住民投票へ 今も続く領有権争い

 南米大陸の南端ホーン岬の北東770キロに位置するフォークランド(スペイン語名マルビナス)諸島をめぐっては、現在も英国とアルゼンチンの間で領有権争いが続いており、今月10、11日には同諸島の自治政府が帰属を問う住民投票を実施する。

 約3千人の住民の多くは英国系で、英領にとどまることを望む意見が多数を占めるとみられるが、アルゼンチンは投票結果を認めない考えを示しており、対立は解消しそうにない。

 同諸島は1833年以来、英国が実効支配していたが、1982年4月2日にアルゼンチンが占領。英国が艦隊を派遣し、紛争に発展した。同年6月にアルゼンチンが降伏したが、アルゼンチン側約650人、英側約260人が戦死した。

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