IBM、オランダの水路管理に大規模データ 〜洪水対策と管理費削減を
- 2013年7月3日
- 環境ビジネス
オランダ政府とIBMは、オランダの運河を管理し洪水対策を改善するとともに、水道管理予算を最大15%削減することを目指した大規模データ・プロジェクトを進めている。
コンピュータワールド誌によると、「デジタル・デルタ」と呼ばれる同プロジェクトでは、IBMがオランダ国土交通省の水運管理局(Rijkswaterstaat)と協力して、オランダ全域の水路や運河の設計と建設、管理、維持に当たる。
同プロジェクトには、デルフト大学や地元水道当局デルフラント(Delfland)、デルタレス科学研究所(Deltares Science Institute)も参加する。
IBM事業開発担当のディジーバン・シュフェリ氏によると、当面の目標は、オランダ国内100ヵ所以上の管理局で収集されるデータを統合できるかどうかを見極めることだ。
同プロジェクトが成功すれば、その手法や原理をほかの地域にも応用できる可能性が高い。同様の考えは、ニューヨークやニューオリンズ、さらに日本、韓国、オーストラリアでも検討されている。
オランダで現在収集されている関連データには、降水量や水位、水質、堤防の状況、モデル予測、ポンプ基地やダムの維持管理状況に関するデータがある。今後1年をかけて、IBMはそれらのデータ統合の可能性を調査する。
オランダの人口の55%は、洪水の可能性が高い区域に住んでおり、水道および水運管理予算は年間92億ドルに上る。このコストは、2020年までに大幅に上昇すると予想される。データを統合することでそのコストを最大15%削減できる、とIBMでは予想する。
たとえば、衛星からの監視データを堤防管理者が利用することで、堤防に取り付ける検知器の数を減らせる可能性がある。また、水源に検知器を付け、気象データや維持管理データを併用することによって、大雨時の氾濫を予測できるようになる。
それらのデータ分析および管理には、IBMのインテリジェント・ウォーター・ソフトウェアが使われる。デジタル・デルタのプラットフォームを介して情報が共有される予定だ。
最終的には、天候変化をモデル化したうえで最適の貯水池を選び、海水が浄水に混じるのを避けたり、下水の氾濫や汚染を防止したりするなど、様々な角度から水道管理を向上させるのが、デジタル・デルタの目標だ。
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