南部農家の生産性が改善〜5月の洪水で畑や牧草地に潤い
- 2015年7月10日
- 米国ビジネス
5月に南部の大平原地帯を見舞った大雨による洪水は、民家には深刻な被害をもたらしたが、干ばつ続きで干上がっていた農地に潤いを与えた。農家の生産性は高まりつつあり、家畜の餌代も大幅に減少している。
ロイター通信によると、初夏の大雨でテキサス、オクラホマ両州は水浸しとなったが、これで農家や畜産農家は何年もの間収益を抑圧してきた干ばつから脱することができた。農家が受ける打撃は洪水より干ばつの方がはるかに大きい。干ばつは他の自然災害と違って広域に及ぶほか長期間続くためで、政府が農家に払う農業保険金額も洪水より多い。
農務省が、南西部などの主要穀倉地帯で干ばつが続いた2012〜14年に干ばつを理由とする農業保険申請に基づいて払った金額は238億9200万ドルで、特に大平原地帯と中西部の両方が干ばつと猛暑に見舞われた12年は156億7200万ドルに上った。これに対し、同時期の洪水を理由とする農業保険の支払額は62億900万ドルで、主要農業地帯で大規模な洪水が発生した11年でも34億7600万ドルと、この年の干ばつによる農業保険金56億4600万ドルよりも少なかった。
しかし、大雨の打撃は資産だけに限らない。小麦のタンパク質量が下がり、農家がブッシェル基準で穀物倉庫から受け取る金額が減る可能性がある。さらに湿気が多すぎると穀物が病気になるリスクも高まる。
一方、牧場主は雨によって家畜の餌代が大幅に下がるという恩恵にあずかっている。干し草は一部が濡れて使い物にならなくなったほか、収穫の遅れで供給が多少制限されたにもかかわらず、価格は干ばつが深刻だった12〜13年の1ベイル当たり130ドルから現在は35ドルまで下がっており、牧草も豊かに育っているため家畜の放牧ができるようになって一層の餌代節約につながっている。
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