がん遺伝子検査の費用を半分負担 〜 シリコン・バレー企業の新たな福利厚生

 クレジット・カード大手ビザ(Visa)や食料品宅配サービス大手インスタカート(Instacart)を含む米数社は、新興企業のカラー・ゲノミクス(Color Genomics、シリコン・バレー拠点)と提携し、従業員向け福利厚生の一環として、乳がんと卵巣がんの発症リスクを調べる遺伝子検査サービスを社員に提供開始した。

 カラー・ゲノミクスによる検査費用は通常249ドル。提携企業がその費用の最低半額を負担する。

 フォーチュン誌によると、利用者はオンラインで検査を申し込んで検査キットを郵便で受け取り、カラー・ゲノミクスは、従業員から返送される唾液サンプルを分析する。同社は、乳がんや卵巣がんの発症に関連する変異遺伝子として知られるBRCA1やBRCA2を含む19の遺伝子を調べて、その結果を通知する。

 検査結果をもとに、被験者はカラー・ゲノミクスの遺伝子専門家によるカウンセリングを受け、予防目的のスクリーニング・プランに登録できる。

 典型的な乳がん遺伝子検査の費用は1500〜4000ドルと高額で、医療保険の適用外である場合が多い。保険適用可の場合でも、保険加入者は乳がんと卵巣がんの家族歴の提示をしばしば求められる。家族に発症歴がある場合、保険掛け金は非常に高く設定される。

 しかし、カラー・ゲノミクスによると、BRCA1とBRCA2の遺伝子変異を持つ人の約50%にはその家族歴がない。

 従業員の遺伝子検査費用を負担する雇用主は増えており、その傾向は今後も続く可能性が高いとみられる。医療保険大手エトナ(Aetna)では、体重増加に関連する代謝問題を調べる遺伝子検査を企業顧客に提供する試験プログラムを実施中だ。

 カラー・ゲノミクスと提携するそのほかの企業には、アンドリーセン・ホロウィッツ氏のベンチャー・キャピタル会社や、デジタル決済処理企業のストライプ(Stripe)といったシリコン・バレー企業がある。

 シリコン・バレー大手らは最近、全社員に対する黒人やヒスパニック系、女性の割合が低いことが問題視され、特に性差別の風潮が激しく批判されている。しかし、その一方では、母乳宅配や無期限産休に代表される画期的な福利厚生の提供で知られる。

この記事が気に入りましたか?

US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします

最近のニュース速報

アメリカの移民法・ビザ
アメリカから日本への帰国
アメリカのビジネス
アメリカの人材採用

注目の記事

  1. 日本では、何においても横並びが良しとされる。小学校への進学時の年齢は決まっているし、学校を...
  2. Water lily 今年は年頭から気にかかっている心配事があった。私は小心なうえに、何事も...
  3. 峡谷に位置するヴァウリアル滝の、春から夏にかけて豪快に水が流れ落ちる美しい光景は必見。島には約16...
  4. 2024年6月3日

    生成AI活用術
    2024年、生成AIのトレンドは? 2017年に発表された「Transformer」...
  5. 今年、UCを卒業するニナは大学で上級の日本語クラスを取っていた。どんな授業内容か、課題には...
  6. ニューヨーク風景 アメリカにある程度、あるいは長年住んでいる人なら分かると思うが、外国である...
  7. 広大な「バッファロー狩りの断崖」。かつて壮絶な狩猟が行われていたことが想像できないほど、 現在は穏...
  8. ©Kevin Baird/Flickr LOHASの聖地 Boulder, Colorad...
ページ上部へ戻る