第86回 カリフォルニアのビーチ事情

文&写真/寺口麻穂(Text and photos by Maho Teraguchi)

 颯爽とかっこよくサーフボードに乗りサーフィンする犬。砂浜で仲間と楽しそうにたわむれ、水しぶきを浴びながら海の中に走って行く犬。真っ赤なサンセットを背中に飼い主とのんびり砂浜を散歩する犬。カリフォルニアのビーチでは、犬と飼い主が、生活の一部として海を満喫しているイメージがありますが、実はそうではないのです。今回は、意外なカリフォルニアのビーチ事情についてお話します。

行けども行けども

 ジュリエットを飼い始めた直後のことです。「さあ、憧れだった “愛犬とビーチで海水浴“を楽しもう!」と意気込んで車を走らせ海に向かいました。下調べもせずに行ってみると、どこもかしこも「犬禁止」のサインが。ジャージー・ショアと呼ばれるニュージャージー州の長い海岸線のビーチを上から一つ一つ当たりましたが、行けども行けども「犬禁止」。唯一OKだったのが、州立公園のビーチのみ。それからと言うもの、泳ぐのが大好きだったジュリエットを連れて行くのは、もっぱら山の中の川か湖でした。ニューヨークに越してからも、事情はほとんど変わらず、数少ない「犬天国ビーチ」であるファイアー・アイランドにだけノアを何度か連れて行きました。この島に行く公共のフェリーボートには犬が同乗でき、「DOG」と記された犬用の切符と犬の料金もあり、そのドッグ・フレンドリーさには顔がほころびました。

犬天国ビーチ

ビーチで愛犬ノアと遊ぶ著者 Photo © Maho Teraguchi

ビーチで愛犬ノアと遊ぶ著者
Photo © Maho Teraguchi

 さて、カリフォルニアで見つけた今の住居。付近にある数々の絶景のビーチへは20〜30分の距離という便利さ。しかし、「カリフォルニアのビーチは犬と飼い主の生活の一部」というイメージはほぼ夢であったことが判明。所変わっても事情は同じで、衛生面の理由からほとんどのビーチが、砂浜と海水への犬の立ち入りを禁止しています。

 そんな犬に悪状況のカリフォルニアでも、評判高いドッグビーチがあると噂を聞きました。一つはLong Beach Dog Beach (www.hautedogs.org/beach.html)。もう一つは、Huntington Beach Dog Beach (www.dogbeach.org) です。この二つのビーチでは、犬も自由に砂浜を駆け回り、海に入ってじゃぶじゃぶ泳ぐことが出来ます。週末はもちろんのこと、平日でも、これらのビーチには、海と自由を満喫する犬とその飼い主がたくさん訪れ、いつもにぎわっています。しかし、美しいカリフォルニアのビーチを犬天国と楽しめるのも、その裏で多大な努力をしている人々がいるからです。これらのドッグビーチは、犬と海をこよなく愛するボランティア団体によって作られ、守られています。彼らが市を説得し、権利を勝ち取ったと言っても過言ではないのです。犬が入れるエリアはきちんと区切られ、また、そのエリアの使用に関して厳しく細かいルールが設けられています。ルールが守れないなら立ち入り禁止。まさしく、それは、海と犬を愛する人たちの自由を守る努力です。

 犬好きでなくても、犬天国のビーチを楽しむ犬と飼い主たちの姿を見ていると思わず顔がほころぶもの。機会があれば是非一度訪れてみてください。

次回は、「嫌な犬」と題し、日頃困った気持ちにさせられる犬たちについての話です。お楽しみに!

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寺口麻穂 (Maho Teraguchi)

寺口麻穂 (Maho Teraguchi)

ライタープロフィール

在米29年。かつては人間の専門家を目指しサンホセ州立大学・大学院で文化人類学を専攻。2001年からキャリアを変え、子供の頃からの夢であった「犬の専門家」に転身。地元のアニマル・シェルターでアダプション・カウンセリングやトレーニングに関わると共に、個人では「Doggie Project」というビジネスを設立。「人間に100%生活を依存している犬を幸せにすることが人間の責任」を全うするため、犬の飼い主教育やトレーニング、問題行動解決サービスを提供している。現在はニューヨークからロサンゼルスに拠点を移し活躍中。

プライベート/グループレッスン、講習会のお問い合わせは:www.doggieproject.com
ご意見・ご感想は:info@doggieproject.com

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