海外教育Navi 第12回
〜帰国後、日本に適応するには〜〈後編〉

記事提供:『月刊 海外子女教育』(公益財団法人 海外子女教育振興財団)

海外勤務にともなう子育てや日本語教育には、親も子どもも苦労することが多いのが現状。そんな駐在員のご家族のために、赴任時・海外勤務中・帰任時によく聞くお悩みを、海外子女教育振興財団に所属するプロの相談員たちが一つひとつ解決すべくアドバイスをお届けします。

Q.海外生活が長く、親子共に日本での生活がイメージできません。学校を含め、日本に適応していくにはどうしたらよいのでしょうか。

前回のコラムでは、日本帰国後にうまく適応するために、海外にいる間にできることを紹介しました(前回記事へ)。今回はその続きをお話しします。

帰国後にできること

続いて帰国後ですが、長い間海外生活を送り、その国の習慣や文化に慣れ親しんできたのですから、ある程度のカルチャーショックを受けることは覚悟しましょう。海外に渡航されたときにも同じようなカルチャーショックがあったはずです。日本での生活経験が浅いお子さんなら、帰国時に親御さん以上にカルチャーショックを受けても仕方がありません。

「郷に入っては郷に従う」という気持ちを今度は帰国の際にあらためて持つことが肝心です。その際、海外の生活でお子さんが得た素晴らしい力を隠そうとしないでください。逆にその力を国内で育った子どもたちに伝えてほしいと思います。国際化が強く求められている現在の教育現場において、多様な文化に接して獲得してきたものは大きな影響力を持つものとなるのです。

日本での生活や学校文化に適応していくためには、最終的には実際に日本に住み、日本の学校に通うしかありません。当然、お子さん自身の力や努力が不可欠で、家族の支援も必要となってきます。そしてさらに大きな助けとなるのは、友達です。

多くの帰国生から、帰国当初に友達の支えがとても力になったと聞きます。お子さんが積極的に自分から話しかけるなど行動し、できるだけ早く多くの友達をつくることを期待します。

もしその友達が帰国生だったら、お子さんが抱いている悩みをしっかりと受け止めてくれるでしょう。帰国生でなかったとしても、お子さんの新たな文化との出会いを円滑にしてくれる存在になることと思います。

また、地域のお祭りなどがあれば、ぜひ参加してみてください。楽しみながら日本の伝統文化に接することで、海外にはない日本独自の文化の素晴らしさに気づけるでしょう。また、コミュニティーの一員として認めてもらうよい機会となるはずです。

自分の得意なことや趣味を生かせる場、たとえば学校や地域のクラブ等に入って活動するのもよいでしょう。前述した先輩・後輩の上下関係など煩わしいこともあるかもしれません。しかし自分に対する自信を伸ばし、人間関係を広げ、ひいては新たな環境への適応を促す大きな場となるものと考えます。

帰国生受け入れの現状

海外子女教育振興財団が設立されたのは1971年、その当時と比べて帰国児童・生徒を取り巻く支援環境は飛躍的によくなっています。現行の学習指導要領、本年3月に公示された新学習指導要領においても、「海外から帰国した児童などについては、学校生活への適応を図るとともに、外国における生活経験を生かすなどの適切な指導を行うこと」と定められ、学校現場では帰国児童・生徒への適応支援から特性伸長、またほかの子どもたちとの相互啓発などさまざまな取り組みが行われています。

もちろん、そういった取り組みがまだ途上であることは否めません。しかし国際化の波が押し寄せる今日、日本そして日本の学校はたしかに大きく変わろうとしています。

最後に

冒頭で記したように、帰国に向けて前向きな気持ちを忘れないようにしましょう。親御さんの不安はお子さんまで不安な気持ちにしてしまいます。海外での生活を充実したものにし、日本での新たな人や文化との出会いを楽しみにしていてください。

では、皆さんのお帰りを心からお待ちしております。

今回の相談員
教育相談員
菅原 光章

1979年から奈良県の公立小学校に勤務する。1983年より3年間、台北日本人学校へ赴任。帰国後は奈良市立小学校に勤務、教頭・校長を歴任する。また奈良県国際理解教育研究会の会長を務めた。退職後、奈良県教育振興会理事ならびに同志社国際学院初等部の教育サポーターを務める。2016年4月より海外子女教育振興財団の教育相談員。

この記事が気に入りましたか?

US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします

この著者の最新の記事

関連記事

デジタル版を読む

フロントライン最新号
ページ上部へ戻る