第37回 中学最後のレジストレーション

文&写真/福田恵子(Text and photo by Keiko Fukuda)

レジストレーションの日に

レジストレーションの日に
Photo © Keiko Fukuda

 夏休みに何をしていたか思い出せないくらい、時は瞬く間に過ぎて、ついにレジストレーションの日を迎えた。ニナはこの秋から中学の最終学年、8年生になる。レジストレーションデーには学校に親子で出向いて、体育服やアジェンダブックを購入し、学生証用の写真を撮影し、最後に図書館で教科書を受け取るという一連の作業を済ませなければならない。

 ただし、レジストレーション自体はオンラインで事前に自宅で行う。ノアが中学に入った頃(7年前)は学校のホームページから必要な書類をプリントアウトして、記入した上で学校に持参していた。しかし、2年前からは緊急時の連絡先から写真撮影の許可書などすべてをペアレントポータルサイト上で済ませるため、手続きはペーパーレスになった。そして問題は、ペアレントポータルサイトにほとんどログインしない私は、ユーザーネームもパスワードも忘れてしまっている、ということ。保護者失格、である。

 昨年も同じことが起こった。とりあえず学校に行き、ラボのスタッフに手伝ってもらってオンラインのレジストレーションを済ませた。最後に「今日のログインはテンポラリーだから、学校が始まったらオフィスに行ってきちんと正式なユーザーネームとパスワードをもらってください」とスタッフに言われた。しかし、私はそれを1年間忘れていた。ペアレントポータルに行かずとも、子供のユーザーネームを使えば成績など重要な情報はチェックできるので必要性を感じなかった。しかし、レジストレーションはペアレントポータルに行かねばならない。

カリキュラム決定

 懲りない私はとりあえず、レジストレーション当日にニナと中学のコンピュータラボに向かってスタッフに助けを求めた。すると、すぐに学区のヘルプデスクに連絡してくれた。電話に出た男性に「あなたはふたつパスワードを持っています。データがおかしいようなので、整理しますから折り返しを待ってください」と言われた。そこで彼に新しいパスワードを聞いてから、自宅に戻り、ニナと再度トライ。何ページも続く画面ではニナ本人に入力させて、最後の「オンラインレジストレーション・サマリー」というページをプリントアウトして、学校に出直した。

 学校では、ニナの親友サマンサと偶然会った。サマンサの家族と一緒に必要なポイントを回り、カリキュラムをピックアップすると、二人とも申請していた中国語のクラスが取れたと大喜び。母国語がスペイン語の子供は外国語にはスペイン語を取ることが多いが、サマンサはメキシコ系なのに敢えて中国語を申請したようだ。モチベーションが高い。このようにカリキュラムは本人の申請がそのまま通用するとは限らず、希望者が多ければ第二希望の科目に回されることも珍しくない。

 ニナいわく「中学で中国語を始めて、レドンド高校でももちろん中国語を選択する。難しい時は友達のアンナ(中国系)に聞けばいい。もしスペイン語を取ることになったらサマンサに聞けばいい」とのこと。

 さて、ニナはレジストレーションが無事に終わり、肩の荷が下りたようだ。「きちんとペアレントポータルサイトにログインできなくてごめんね」と反省した私は、ニナに謝った。すべては私の怠慢のせいで二度も学校に足を運ぶことになったのだから。ニナは「もう終わったことだから、全然大丈夫」と言ってくれた。8年生になった娘が、少し大人になったような気がするのは親の欲目だろうか。

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福田恵子 (Keiko Fukuda)

福田恵子 (Keiko Fukuda)

ライタープロフィール

東京の情報出版社勤務を経て1992年渡米。同年より在米日本語雑誌の編集職を2003年まで務める。独立してフリーライターとなってからは、人物インタビュー、アメリカ事情を中心に日米の雑誌に寄稿。執筆業の他にもコーディネーション、翻訳、ローカライゼーション、市場調査、在米日系企業の広報のアウトソーシングなどを手掛けながら母親業にも奮闘中。モットーは入社式で女性取締役のスピーチにあった「ビジネスにマイペースは許されない」。慌ただしく東奔西走する日々を続け、気づけば業界経験30年。

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