耐震改築、家賃に上乗せ?
ロサンゼルス市の提案

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 ロサンゼルスのエリック・ガーセッティ市長が2014年、過去に例のない広範囲におよぶ耐震法を提案して以来、だれがその費用を負担するのか、が市民の関心の的になってきた。
 ロサンゼルスの古いアパートの多くが、耐震に問題を抱えている。すでに家賃は全米有数の高さなのだが、これに耐震に関する改修改築費用の一部を上乗せする案が議論されている。
 9月16日付ロサンゼルス・タイムズの記事(“L.A. officials present a plan for renters and landlords to split the costs of quake retrofitting”)が伝えた。
 市は、家主と入居者(テナント)が一緒に費用を負担し、入居者は5~10年間で月額最大38ドルまでの値上げを受け入れるという案を提示している。
 ロサンゼルス市内には、改修が必要とされるコンクリートのビルが1000以上、木造アパートが最低1万2000はある。改修費用はまちまちだが、木造アパートの補修には最大13万ドル、大きなコンクリートビルなら数百万ドルに達するといわれる。
 現行の法律では、家主は改修費用として(これまで耐震にはめったに適用されたことがないが)、最大月額75ドル値上げすることができる。
 市は、入居者および家主代表グループとこれまで4回の会合を持ったが、耐震対策費用について合意に至ることはなかった。ただし住民の安全と、住宅のストックを維持するためには耐震対策が不可欠だという点、また費用は両サイドが負担すべきだという点では、意見が一致したという。
 入居者側からは、10年間かけての値上げには合意するものの、その間の利子がどのように家賃に反映されるかを懸念する声や、耐震のための改修が終わっても家賃が据え置かれるのではという不安、耐震改修に別の改修が勝手に追加され、費用が家賃に上乗せされるのではという意見が出た。
 家主側からは、月々38ドルを値上げした家賃収入で、改修に必要な費用のためのローン審査に通るのかという声があがった。値上げ費用を算定するための調査が十分に行われていないとの指摘もある。

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