シーワールドのオルカのショー
繁殖禁止命令で打撃、終わりか?

Photo @ Tammy Lo

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 カリフォルニア州サンディエゴのテーマパーク「シーワールド」は、数十年にわたって、オルカ(シャチ、シャムー、キラーホエールとも呼ばれる)の曲芸「One Ocean Shamu Show」を売り物にしてきた。しかし、このショーもついに終わりを迎えそうだ。
 10月8日付ロサンゼルス・タイムズの記事(“Coastal Commission bans captive orca breeding at SeaWorld San Diego”)によると、カリフォルニア沿岸委員会が、シーワールドの飼育下にあるオルカの繁殖を禁じた。さらに、シーワールドがオルカをほかの施設に移送することも厳しく制限した。
 シーワールドのオルカについては、2013年のドキュメンタリー映画「ブラックフィッシュ」が、シーワールドでオルカに襲われてトレーナーが死傷した事件などを追究して話題になった。本来は野生で群れを伴って行動するオルカが、狭い水槽で家族と引き離されて別の施設に売られる様子や、飼育数を増やすために繁殖を強いられる実態などが明らかにされた。
 シーワールドの看板だったショーは、一転して、厳しい批判にさらされた。シーワールドは虐待を否定したが、世論は厳しく、昨年の来場者は前年比で12%減の約380万人となり、親会社シーワールド・エンターテインメントの株価も下がった。
 同委員会は、シーワールドの支持者と反対派の両方の意見を聞いて議論したが、結果的に動物擁護団体の主張が認められた形だ。
 シーワールド・サンディエゴは、1億ドルを投じて、現在170万ガロンの水槽を520万ガロンに拡張し、オルカの生育環境を改善する計画を表明している。しかし今回の禁止令で、今後はオルカの繁殖ができず、新しいオルカを仕入れることも難しくなる。
 現在シーワールド・サンディエゴにいる11頭のオルカのうち8頭は、飼育下の繁殖で生まれたという。

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