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- フォトルポタージュ(水島伸敏)
- 日本の秘湯 松川温泉 松楓荘
この松川温泉には松楓荘のほかに、峡雲荘というもう一つの秘湯の宿がある。山道を5分ほど登っていく。道の脇には遅い春を待ちわびていたふきのとうたちが、枯葉の下から顔を出している。建物はさっぱりとした現代風だが、広めの露天風呂と雪景色はなかなかだった。めずらしく一人で若い男性がいたので、話しかけてみると、東京の大学のスポーツ選手だと教えてくれた。内風呂と繋がっている露天風呂を交互に足を引きずりながら出たり入ったりしている。怪我の静養で1週間ほどの湯治だ。昔の湯治客は、川づたいを歩いてここまで来たというが、山あいにある温泉宿の価値は車で来れるようになった今でも、訪れる人にとって何も変わっていないのかもしれない 。
松楓荘の名物は川を渡った先にある岩洞窟の露天風呂だ。楽しみにしていたのだけれど、今年の冬は雪が多く、雪崩れで落ちてきた雪塊が岩風呂の入り口をふさいでしまい、近づくこともできなくなっていた。 女将さんに無理をいって、少しだけ覗かせてもらった。いつもなら、夜にはろうそくが灯され、そのほのかな明かりに案内されるように、橋を渡り岩風呂に向かうという。想像しただけでもその時間は特別なものに思える。是非、いつかまたこの宿を訪れてみたい。
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