雇用に基づく移民請願書を提出する場合は、アメリカのスポンサー会社となる雇用主が決められた給与を支払う能力(給与支払能力)があることが条件となります。外国人労働者のために労働認定書(PERM)の申請が行われた場合、給与額や優先日(Priority Date)は労働認定書に記載されます。請願人であるスポンサー会社は、優先日が確立された時点で給与を支払う能力を持っていることを示さなければなりません。
スポンサー会社は、PERMの段階ではその給与を支払う必要はありませんが、PERM申請から永住権許可(I-485)までの間、給与支払能力を継続して保持することを証言し証明することになります。アメリカ帰化移民局(USCIS)は、I-140が許可された後のI-485のステータス変更手続きの段階でも、スポンサー会社の支払能力について確認することがあります。
支払能力を証明する証拠として、年次報告書、連邦税申告書や監査済み決算報告書のコピー等が含まれます。100名以上の従業員を雇用するスポンサー会社については、会社の財務責任者からのスポンサー会社の支払能力についてのステートメントを認める場合もあります。ケースによっては、USCISより損益計算書や、銀行明細書、または人事記録などの追加書類の提出が求められます。
これらの証拠は、規定の給与額の支払能力を判断するために使われますが、まずUSCISは以下の3点のいずれかをもとに、給与支払能力を検討します。
● 純利益 (Net Income):
スポンサー会社の純利益が規定の給与額と同等かそれ以上であることを反映する証拠
● 正味流動資産(Net Current Asset):
スポンサー会社の正味流動資産が規定の給与額と同等かそれ以上であることを反映する証拠。正味流動資産の計算方法は、正味流動資産から流動負債の合計額を差し引いたもの
● 受益者の雇用:
スポンサー会社が受益者を雇っているだけでなく、規定の賃金を支払っていることを証明できる検証可能な証拠や記録
スポンサー会社が上記の要件を満たしていない場合でも、USCISが任意で考慮する要因もあります。判例によると、給与支払能力は「総合的な状況」にもとづく判断が基準であるとされています。よって、受益者が永住権を取得する際に、合理的に期待できる将来の財務利益によりスポンサー会社の賃金支払能力が満たされるとする証拠の提出も許可されることがあります。以下の場合は、スポンサー会社の将来的財務利益は合理的である、とされます。
● スポンサー会社は、財政難ではなく、また人を雇用している
● スポンサー会社は、財務状況を一時的に悪化させるような異例の費用がその年に発生したことを証明できる
● スポンサー会社は、請願書を提出した翌年以降、収入の大幅な増加が期待できることを会計士や専門家が作成した財務書類によって確立できる
*本コラムは顧客からの質問を一般的なケースに書き換えたものであり、読者への情報提供を目的としたものです。特定事例における法的アドバイスが必要な場合は、専門家に相談してください。
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