第15回「小さく産んで 地元が育てる」

文&写真/小野アムスデン道子(Text and photos by Michiko Ono Amsden)

人気カフェの原点は
ワッフルのフードカート

 ポートランドは、スモールビジネスからスタートしてもちょうどいい具合に成長していける街の規模。フードカートから始めてカフェやレストランを構えるオーナーが多いのはよい例だ。

 ポートランドのダウンタウンからは車で30分と少し離れたヒルズデールで、常に入店待ちの列ができるブレックファストからランチまでを専門にしている人気カフェ「ジジズ・カフェ」もそうだ。オーナーは、笑顔がすてきなシャーリーン・ウェスラーさん。2010年11月からダウンタウンでベルギー(リエージュ)ワッフルのフードカートを始めて、4年後の2014年にこの場所でカフェをオープンした。

しっくい壁のかわいい店内。お客さんと笑顔を交わすシャーリーンさん Photo © Michiko Ono Amsden

しっくい壁のかわいい店内。お客さんと笑顔を交わすシャーリーンさん
Photo © Michiko Ono Amsden

 「2009年まではレストランのシェフとして働いていたのですけど、経済状況が悪く閉店に。3人の子供を抱えてどうしようかと思ったわ。でもボーイフレンドの助けもあって、2010年に小さなワッフルのフードカートをオープンしたの。ワッフルがよいのは、キャンバスに絵を描くように、ベースをワッフルにしていろんな料理がクリエイトできるところ。リエージュワッフルは最高のおいしいキャンバスよ!」とシャーリーンさん。たしかにジジズ・カフェのワッフルは、香ばしくかつふんわりとした風味でそれだけでもおいしいが、シンプルな味わいなので甘いカラメルやクリームなどでも、ハムや卵料理でもいける。フードカートと違って、カフェではワッフル以外のメニューもあるが、注文をした品を待っている間に小さなサンプルのワッフルを出してくれるのが、ファンづくりにも一役買っている。「フードカートはワンマンショーだけど、カフェで成功するにはいろんな人とやっていかなくちゃいけないわ」というシャーリーンさん。このカフェのスタッフは、フレンドリーで本当にサンプルを出す時も「うちの自慢のワッフルをどうぞ」という感じなのだ。

テレビのフード番組で
成功をつかんでいく

 フードカート時代からも人気のワッフルだったが、転機が訪れたのは2014年に参加した全米放映のフードネットワークの「フード・カート・ウォー」という大会で優勝したこと。優勝の賞品がワシントン州ケルソーのモールでカートを6カ月間タダで借りられる権利だった。その間に資金を貯め、現在のポートランドのヒルズデールにレンガとモルタルでできた理想の場所を見つけて、カフェをオープンした。この連載の第9回に登場した「ノンズ・カオマンガイ」のオーナー・シェフもフードネットワークの番組のチャンピオンで、今やフードカート2カ所にレストランもオープンしている。ポートランドは、全米で認められる味の実力派を輩出する街でもあり、そこからさらに愛される存在としてしっかり根付いていける場所でもある。「甘いタイプのワッフルでは、シャブレ(ヤギの乳のチーズ)ムースにバルサミコ酢のカラメルソースとトーストしたピスタチオを添えたワッフルが私は好き。一番人気は、フライドチキンとワッフルというカフェになってから始めたメニューよ」とシャーリーンさん。まだ、店を始めてから2年なのだが、気分を変えたい朝ごはんはここでという人や、毎週末ここでブランチという常連さんも多いカフェ。今やすっかり昔からある地元ご自慢の味のようになっているのもポートランドらしい。

オムレツやハッシュとでも甘い系でもどちらもおいしいワッフル Photo © Michiko Ono Amsden

オムレツやハッシュとでも甘い系でもどちらもおいしいワッフル
Photo © Michiko Ono Amsden

ジジズ・カフェ Gigi’s Café
住所: 6320 SW Capitol Hwy, Portland, OR 97239
電話:(503) 977-2233
http://www.gigiscafepdx.com

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小野アムスデン道子 (Michiko Ono Amsden)

小野アムスデン道子 (Michiko Ono Amsden)

ライタープロフィール

世界有数のトラベルガイドブック「ロンリープラネット日本語版」の編集を経て、フリーランスへ。東京とポートランドを行き来しつつ、世界あちこちにも飛ぶ。旅の楽しみ方を中心に食・文化・アートなどについて執筆、編集、翻訳多数。日本旅行作家協会会員。

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