第9回 「川とチーズとビール」
ウィスコンシン州
文&写真/小野アムスデン道子(Text and photos by Michiko Ono Amsden)
- 2017年11月2日
- 2017年11月号掲載, ウィスコンシン州
名産のチーズと
ラクロスゆかりの町
広いアメリカ、まだ知られていない旅先を紹介していく本シリーズの第9回は、ウィスコンシン州。州都でウィスコンシン大学のあるマジソンやハーレーダビッドソンの本社(ハーレーダビッドソン・ミュージアムには、名車の数々、東日本大震災で流れ着いたハーレーなどが展示され、とても興味深い)のあるミルウォーキーは、名前も知られていると思うが、今回はミネソタ州から入り、ミシシッピ川が一望できる絶壁「グランダッド・ブラフ」のあるラクロスの町へ行く。
途中に立ち寄った「ネルソン・チーズ・ファクトリー」は、100年余にわたってチーズを造っていたが、今はもう工場ではなくウィスコンシン州のチーズを中心に世界中のおいしいチーズやワインなどを売るグルメショップだ。チーズは同州の名産。もちもちのチーズカード(ミルクを酵素で固めたフレッシュチーズの一種)が売られているのは新鮮でおいしいミルクがあるがゆえ。
ラクロスは、あのスティックを使ってボールを奪い合うスポーツ“ラクロス”のことである。この辺りに住んでいたネイティブアメリカンが儀式の際に使って踊ったり、遊んだりしていたスティックを、フランス人入植者がキリスト教のクロス(Crosse:十字架)に似ているとして、定冠詞Laをつけてラクロスと呼んだのだ。現代のスポーツ競技になったのはカナダ人によるのだが、ここも町の名が示すとおりルーツの場所の一つである。
そんなラクロスからは、ミシシッピ川に浮かぶ外輪船「ラ・クロス・クイーン号」に乗って、のんびり食事をしながら川を眺めて2時間ほどのクルーズを楽しめる。
ドイツ移民が伝えたビール
ナショナルミュージアムも
ウィスコンシンとは、ネイティブアメリカンの言葉で“水の集まる所”というだけあって、ミラー・ビールの本社のあるミルウォーキーなど、ドイツ移民によるビール造りが昔から盛んだったのも有名だ。ラクロスの醸造所シティ・ブルワリーには世界最大のシックスパック(6缶セット)のモニュメントが立っている。
ラクロスから川に沿って南に下ったポトシの町には、おいしい地ビールを造る「ポトシ・ブルワリー」がある。1852年に創業し、一時、操業停止をした時期もあったが2008年に復興。そして、ここには「ナショナル・ブルワリー・ミュージアム」もあって、醸造所見学と共に、アメリカ中西部のビール造りの歴史や膨大なビールの容器などのコレクションが展示されている。
ミシシッピ川沿いに下ったウィスコンシン州は、チーズやビールを楽しみながらの、のんびりした旅ができる。
https://www.nelsoncheese.com
■ ラ・クロス・クイーン号 La Crosse Queen Cruises
http://www.lacrossequeen.com
■ ポトシ・ブルワリー Potosi Brewery
http://www.potosibrewery.com(博物館の情報も同HP内)
取材協力 ミシシッピ・リバー・カントリーUSA https://mrcusa.jp
この記事が気に入りましたか?
US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします