第49回 兄と妹のレジストレーション

文&写真/福田恵子(Text and photo by Keiko Fukuda)

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 8月22日、ニナが秋から通うハイスクールのレジストレーションが終了した。レジストレーションはまず、自宅でのオンライン手続きから始まる。必要な情報を入力して最後の画面だけをプリントアウトして持参すればいい。

 ニナはレジストレーションの数日前から緊張していた。「ハイスクールはキャンパスが大きいから緊張する。マンモス校で生徒が多いから緊張する」と何度も不安を口にした。「ノアの時はどうだったの?」とも聞かれた。ノアはニナより5歳上の兄。ニナが9月に進学するハイスクールを2015年に卒業して、日本に行ってしまった。

 そのノア、まったく緊張なんてしなかった。私がペアレントポータルのパスワードを忘れたせいで事前にオンラインレジストレーションができなかった時も、「学校に行けばなんとかなるでしょ?」と言っていた。実際、時間はかかったがなんとかなった。他方、ニナは「あれでオンラインは完璧だったかな? 他に必要なものはないかな? そうだ、キャンパスマップ」と準備にせわしない。

すべては性格の違い

 1人目の子どもの時は親としてもわからないことだらけで、誰に何を聞いたらいいかもわからない。先輩ママやベビーシッターのアドバイスを仰ぎながら必死だったというのが正直なところ。しかし、2人目ともなると、一通りのことは経験済みなので、何事もスムーズにいくのが普通。しかし、ノアを18年、ニナを14年間育ててきて、どれだけ手がかかるかは子どもの性格によるのではないか、と思うに至った。

 ノアはとにかくうっかり者で、忘れ物を学校に持ってきて、と呼び出されたことも数知れず。高校の卒業式の2カ月前に、「ファイナルエッセーを出してない。このままだと卒業できない」と教師から電話がかかってきたこともあるし、塾の模試で爆睡したこともある。そのくせ、根拠のない自信に溢れていて「なんとかなるから。大丈夫だから」と言うのが口癖だった。彼には振り回され、多くの時間を割いた。親だから当たり前と言われれば確かにその通り。しかし、彼が日本に発った後、ヘアスタイリストに私は「円形脱毛症の跡がある」と言われた。私の脱毛はノアが原因だと確信した。

 ところがニナは私に言われなくても、何でも自分でやってしまう。失敗を犯さないように何事も慎重に、事前の準備も欠かさない。ノアとニナを足して割れば、性格的にはちょうどいいんじゃないかと思えるほどだ。

 さてレジストレーション当日。10時過ぎにニナと一緒に高校に出かけると、すでにキャンパスは親子連れで溢れていた。PTSAに加入し、体育服とイヤーブック、アジェンダブック、ロッカーの鍵を購入し、写真を撮影して学生証を作成し、学区貸与のクロームブックとカリキュラムのスケジュールを受け取る。最後に図書館で教科書を借りて終了。ここまでが約1時間。ニナはカリキュラムの課目と借りた教科書が合っているか、何度も確認していた。キャンパスの入り口近くにはカリキュラム変更をリクエストする長い列ができていた。ニナはスコアが厳しいと噂される教師のクラスを取っていた。「ニナ、今からでも変更できるんだよ、並んで変更をリクエストする?」と聞くと、彼女は堅い表情で「大丈夫。私、頑張るから」と答えた。親としては、息切れしないといいけれど、と心配になった。そう言えば、ノアは教科書を受け取った途端に、中を見ようともせずロッカーに放り込んでいたっけ。兄妹の性格を足して割ることはできない‥。

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福田恵子 (Keiko Fukuda)

福田恵子 (Keiko Fukuda)

ライタープロフィール

東京の情報出版社勤務を経て1992年渡米。同年より在米日本語雑誌の編集職を2003年まで務める。独立してフリーライターとなってからは、人物インタビュー、アメリカ事情を中心に日米の雑誌に寄稿。執筆業の他にもコーディネーション、翻訳、ローカライゼーション、市場調査、在米日系企業の広報のアウトソーシングなどを手掛けながら母親業にも奮闘中。モットーは入社式で女性取締役のスピーチにあった「ビジネスにマイペースは許されない」。慌ただしく東奔西走する日々を続け、気づけば業界経験30年。

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