第97回 The Sato Project

文/寺口麻穂(Text by Maho Teraguchi)

わんぱくだったローラも、家が見つかった今は、お行儀良い家庭犬に変身。けい子さんと愛犬のハンナと記念撮影。

わんぱくだったローラも、家が見つかった今は、お行儀良い家庭犬に変身。けい子さんと愛犬のハンナと記念撮影。

 The Sato Projectというアニマル・レスキュー団体で、日々情熱を注ぎ活動する、ニューヨーク在住の友人、松村けい子さんをインタビューしました。今回は、そのThe Sato Projectの紹介記事です。

麻穂:The Sato Projectの概要を教えてください。

けい子:2011年に、英国人のクリッシー・ベックルスが立ち上げた団体です。彼女のご主人が映画のスタントマンで、撮影でプエルトリコを良く訪れるようになったのですが、ビーチに捨てられ野犬になった犬達が、あちこちで群れをなし生き延びている姿を見て愕然としたのがきっかけです。プエルトリコには、「デッド・ドッグ・ビーチ(犬の死の海岸)」と呼ばれるビーチがあります。道の行き止まりにある海岸で、家もない、人も居ない「地獄」のような場所。村人はそこに犬を捨てに行くのです。ただ捨てられるだけではなく、火をつけられたり、傷つけられたり、あるいはギャングによって銃の試し撃ちに使われたりと、悲惨な目に遇わされているのです。その虐待された犬たちを救おうと、正義感の強いボクサーのクリッシーが立ち上げたのが The Sato Project* です。現地ボランティアは、毎日ビーチに行って、犬たちに餌や薬を与え、保護して治療もします。保護した犬を去勢したら、アメリカに運び、里親を探して引き渡すという活動を行っています。

麻:けい子さんがThe Sato Projectに関わることになったきっかけは?

け:Facebookを見ていた時、以前に飼っていた犬と、今飼っている犬がミックスしたような犬の写真を見つけました。その犬の一時預かり募集の投稿でした。ただ彼に会ってみたい、彼のために何か出来ればと、いう思いでクリッシーに連絡をしました。それが活動に関わったきっかけです。

麻:けい子さんは、現在どんな活動をしていますか?

け:主に、フォスター・ケアです。保護された犬に家族を見つける前に、人間との生活のハウツーを教える活動です。そして、この活動を少しでも多くの日本人家族に経験してもらえるよう、また知ってもらえるよう、広報活動もしています。

麻:活動をする中で、大変なことはなんですか?

け:ビーチから送られてくる犬の多くは、人間との家庭生活が初めて。ビーチでの生活では見たこともない、階段、エレベーター、自転車、バス、地下鉄、そしてリーシュ歩行。全てに慣れるまで24時間でクリアする犬もいれば、時間がかかる犬もいます。それぞれの犬の性格を短時間で見極めること、また苦手を克服させるのが大変です。

麻:関わってよかったと思える時はどんな時?

け:意味があって地球上に犬として命を授かったにも関わらず、人間の勝手で一度は不必要とされるわけですが、この団体の助けで命を吹き返す、更には思ってもいない幸せを得て犬の一生を全う出来る助けに携われることです。

麻:読者のみなさんに一言メッセージをお願いします。

け:次から次へと休みなく犬を預かっていると、疲れが増して「こんな犬預からなければよかった」と思うこともあります。そんな時に、私の気持ちを察して「見た目はこんなですが可愛がってください、ヨロシク」と目で訴えてくるのを見ると「ごめんなさい」と我に返ります。誰よりも空気を読んで私の気持ちを一番に察してくれるのです。家族が見つからないかもと勝手に判断をしてしまった犬に、「まさか!」の素晴らしい家族が見つかった時、神様がちゃんと見ていて、家族とこの犬を巡り会わせてくれたんだ。この家族が来るのを待っていたんだ、運命ってあるんだな、と思うことが沢山あります。
この活動を通じて、沢山の素晴らしい人に巡り会いました。沢山の幸せを見てきました。是非、この経験をみなさんとシェアしていけたらと思っています。

次回は、「Emotional Support Dog」のお話です。お楽しみに!

*団体についての詳細は、http://www.thesatoproject.org/をご覧ください。

Universal Mobile

この記事が気に入りましたか?

US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします

寺口麻穂 (Maho Teraguchi)

寺口麻穂 (Maho Teraguchi)

ライタープロフィール

在米29年。かつては人間の専門家を目指しサンホセ州立大学・大学院で文化人類学を専攻。2001年からキャリアを変え、子供の頃からの夢であった「犬の専門家」に転身。地元のアニマル・シェルターでアダプション・カウンセリングやトレーニングに関わると共に、個人では「Doggie Project」というビジネスを設立。「人間に100%生活を依存している犬を幸せにすることが人間の責任」を全うするため、犬の飼い主教育やトレーニング、問題行動解決サービスを提供している。現在はニューヨークからロサンゼルスに拠点を移し活躍中。

プライベート/グループレッスン、講習会のお問い合わせは:www.doggieproject.com
ご意見・ご感想は:info@doggieproject.com

この著者への感想・コメントはこちらから

Name / お名前*

Email*

Comment / 本文

この著者の最新の記事

関連記事

資格の学校TAC
アメリカの移民法・ビザ
アメリカから日本への帰国
アメリカのビジネス
アメリカの人材採用
Universal Mobile

注目の記事

  1. 2020年9月末、ニナは大学に入学する。彼女が進学先として選んだのはカリフォルニア大学(UC...
  2. 2020年10月2日

    豊かな日々を生きる
    「Live rich life」。ピート・ハミルの言葉である。2020年8月5日、彼は85歳...
  3. ケンタッキー州の西部に位置するマンモス・ケーブ国立公園は、複雑に絡み合った小道と大小さまざま...
  4. あなたの食生活は大丈夫? 「体が資本」という言葉がある通り、日々の食事は体の土台を作るための大...
  5. ステンレス製のお皿にライスが隠れるようにルーを全体にかけ、その上にトンカツ、そして付け合わせにはキャ...
  6. この原稿を書いているのは2020年6月12日。昨日、ニナの義務教育が終了した。オンラインでの...
  7. アラスカ州とカナダの国境地帯に広がるのは、世界最大規模の自然保護区。北米大陸最高峰の山々に世...
  8. コロナ禍の3カ月の自粛生活は、私たちそれぞれに、自分の忙しい生活を今一度振り返る良い機会とな...
ページ上部へ戻る