アメリカでハタラク人のための就職・転職 Q&A Vol.1

文&写真/菰田久美子(Text and photo by Kumiko Komoda)

アメリカで就職・転職を成功に導くヒントがいっぱいのコーナーです。履歴書の書き方、就労ビザなど、アメリカでの就職・転職を目指している方の“知りたい”にお応えしています。是非ご活用ください。

Q1. アメリカでの就職の流れを教えてください

日本では3月に学校を卒業して、4月から新入社員として一斉に働く新卒採用が主流ですが、アメリカでは通年採用が一般的です。アメリカでは卒業の時期が異なることや、離職率が高いため、欠員が出た時にすぐ補充する必要が出てくるからです。また、業務拡大や新規プロジェクトのために、必要に応じて職種ごとに求人募集が行われます。

日本人留学生が社会人となる一般的な道は、在学中のインターンまたは卒業後のOPT(Optional・Practical・Training)を取得して、学校で得た専門知識を活かした実習を経験。インターンや実習のキャリアを積んだ後、就職につなげます。OPTで実習を行った就労先が就職先になる可能性も大です。ただし、アメリカで仕事をするためには労働が許可されたビザが必要となります。近年、就労ビザの審査は厳しく、就労ビザ取得という難関を切り抜けてはじめて就職が可能となります。

一方、アメリカで合法的に就労ができる永住権(グリーンカード)や市民権を持っている方は、就労ビザの心配なく就職が可能となります。ただし、経験やスキル重視のアメリカでの就職には、語学力とビジネススキルがあるほうが望ましいです。


Q2. 英文レジュメを作成する時に気をつけることは?

アメリカで就職をすると決めたら、まずは英文レジュメを作成しましょう。日本語の履歴書と英語の履歴書の最大の違いは、決められたフォームがあるかないかです。英語レジュメはフリースタイル、魅力ある人材と思ってもらうために、自分の長所を最大限にアピールしなければなりません。「この人を採用したら、会社の役に立ってくれそうだ」と人事担当者に思わせることが目的です。業種や役職に応じて、ふさわしいレジュメを作ることを心がけてください。

1. 美しく簡潔にレイアウト

人事担当者のもとには、数百通というレジュメが送られ、その中からたった数人が面接に選ばれるということも多々あります。まず、見た目に美しくないレジュメは、読み飛ばされる可能性が大。読む気がするレイアウトにすることが重要です。フォントの種類やサイズ、行や段落の配置については、デザイン系職種の場合は多少事情が異なりますが、それ以外の場合は、個性よりも標準的で読みやすいことが優先。ページ数は、職務経験が10年以上ある人は2ページでもOKですが、なるべく1ページに収まるようにしてください。

2. 大事なことを最初に

忙しい人事担当者には、レジュメを最初から最後まで、じっくり読んでいる暇はありません。1ページ目の最初のほうに目を通したら、あとは斜め読みすることもよくあります。レジュメの冒頭に、自分のスキルの要点を箇条書きするセクションを入れるのも得策。職歴の説明では、応募職種にふさわしい経験を選りすぐって最近のものから書くなど、人事担当者の目に止まってほしい内容を最大限に主張することが大事です。

3. アピールする言葉を使う

自分の能力や経験を説明するにあたっては、できるかぎり強力な言葉を使うべきです。能動的で積極的な語彙、例えば、「attained」「accomplished」「managed」「developed」など、レジュメで好んで使われる表現があり、これらはPower VerbやAction Phraseと呼ばれています。こうした言い回しを散りばめることによって、強い印象を作ることができます。また「Make⇔Prepare」「 Give⇔Provide」「Do⇔Implement」のように単語の選び方ひとつでプロフェッショナルかつインテリジェンスな印象を与えるので、単語の選び方にも最善の注意を払いましょう。


Q3. 英文レジュメにはどんな項目を盛り込んだらよいですか?

1. 氏名・連絡先

個人情報は必要最低限にとどめましょう。ただし、企業と自分をつなぐ、唯一の連絡方法なので、決してミスタイプしないこと。確実に連絡のとれる電話番号(自宅でも携帯でも可)、及びE-mailアドレスの記載は必須です。

2. ObjectiveとHighlights

冒頭を魅力的に見せることが先に読み進めてもらう第一歩です。新卒にしても、転職にしても、明確なObjective, Highlightsを記述することです。Objectiveには応募の目的やどのような職種を求めているか。その職種で役立つどのような能力を持っているのかを明記します。「7年にわたる財務分野の実務経験と幅広い会計知識を生かせる経理職を希望」など。また、Highlightsには、Objectiveに直結する特筆すべき経験・スキル・実績等を盛り込むと効果的です。例えば、応募したい職種に関連した職務年数、教育・トレーニング経験などです。

3. Work Experience

人事担当者が最大の関心を寄せるのがこの部分。「○○会社に勤めた」や「△△部に配属された」といった受身的な表現ではなく、「××のプロジェクトで□□ の開発を手がけた」など具体的に。可能ならば、「売上高を30%伸ばした」「20人のチームを統括した」など、数量的に実績を表すと効果的。書く順番は、現在→過去。現在の自分を魅力的に見せることを心がけましょう。

4. Education

通常は、大学卒業以上の学歴を新しいものから列記します。何を専攻したかを書くほか、平均成績(GPA)や優等表彰など、特筆すべきことがあれば書き加えるといいでしょう。

5. Certification

なるべく応募する職種に関連するものの資格がベターです。資格の正式名称と取得年も記載します。

6. キーワード

QuickBooks, SAP, Bloomberg, CAD, Dreamweaver, Photoshop, VBA, C++, Excel, CPA, MBA等々。キーワードは採用担当者やリクルーターが、レジュメサーチを行う際によく使用するものの一例です。レジュメサーチ対象となり、採用担当者の目にとまるためにも書けるものがあれば必ず明記してください。


Q4. 英文レジュメに適した書式はありますか?

レターサイズ(日本のA4サイズ)が基本です。基本的には、白やアイボリーなど清潔感のある、上質の紙を使用します。郵送の場合にはレジュメと封筒は同じタイプの紙質を使用します。フォントはTimes New RomanやCenturyなどの見やすいフォントを選んでください。また、フォントの大きさは10~12ポイントが適切です。


Q5. 英文レジュメの基本スタイルは?

1.年代順

英文レジュメのスタイルで最もスタンダードとなるスタイルが年代順です。職歴や学歴を最近のものから過去のものへと遡って書いていくスタイルです。職務内容については、応募するポジションに合わせて強調する内容を変更することをお勧めします。例えば営業のポジションであれば、○%売り上げをアップさせた等、数字を目立つよう配置し、アピールします。

2.技能ベース

専門知識や能力を中心にまとめるスタイルです。専門性や技術が重視されるポジションには最も効果的な形式です。スキルを一番目立つところに記入するので、技術を重視するポジションでは採用担当者の目にとまりやすくなります。

3.年代順+技能ベース

1と2を組み合わせたスタイル。ObjectiveのあとにSummaryとしてスキルやこれまでの経験や業績、資格などを記載。その後に、年代順に職務経歴を記載します。職務経験の少ない方などはボリュームが出て見栄えがよくなります。


Q6. カバーレターとは何ですか?

欧米では企業に直接履歴書を送る場合、英文レジュメにカバーレターと呼ばれる手紙を添えて送ります。ビジネスマナーの一つで、人事や採用担当者に対して、挨拶および英文履歴書を読んでもらうための大事な手紙なので、きちんとした文章で志望動機など簡潔に伝えるよう心がけることが大切です。最近ではE-mailを使って応募することも多くなったので、メールに書く文章がカバーレターの役目を果たす場合も多くなっています。


Q7. カバーレターの書き方を教えてください

カバーレターは通常3つのパラグラフで構成します。それぞれのパラグラフの内容は下記の通りです。

1.求人を見つけた方法と志望動機
2.なぜ自分がそのポジションに適しているか、またはその会社に貢献できるかなど企業が自分を雇うメリットについてを記入
3.面接を希望することや相手に目を通してもらった感謝の気持ちを伝える

以上3つの内容に加えて、自分の連絡先、日付、宛名などを記入します。
カバーレターは英文履歴書を見てもらう導線でもあるので、そのポジションにいかに自分が適しているかを端的に表現する必要があります。例えば、I believe I would be and excellent candidate for the position. (私はこのポジションにふさわしい候補者だと自負しています)というように自分をアピールすること。さらになぜふさわしい候補者であるのか、理由を付け加えるとさらに効果的です。

Copyright ©QUICK USA, INC. All rights reserved
記事内容に関してはU.S. FrontLineは一切の責任を負いかねます。

この記事が気に入りましたか?

US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします

菰田久美子 (Kumiko Komoda)

菰田久美子 (Kumiko Komoda)

ライタープロフィール

人材紹介・派遣会社、QUICK USA, Inc.のマーケティング企画室マネージャー兼キャリアコンサルタント。日本の大学卒業後、IT、広告代理店を経て留学のため渡米。2002年QUICK USA, Inc.入社。これまで多くの求職者に対してアメリカでの転職および就職のサポートを行ってきた。求職者であった時の初心を忘れずに、常に求職者の立場に立った適切なアドバイスを提供できるよう心がけている。2015年、マーケティング企画室創設に伴いマネージャーに就任。同社の広告、ウェブ、SNS戦略を拡大。イベントへの参加、セミナーの開催なども積極的に行っている。

この著者の最新の記事

関連記事

Universal Mobile
資格の学校TAC
アメリカの移民法・ビザ
アメリカから日本への帰国
アメリカのビジネス
アメリカの人材採用

注目の記事

  1. ニューヨークの古い教会 根を詰めて仕事をし、極度に集中した緊張の日々が続くと、息が詰まって爆...
  2. ダイナミックに流れ落ちるヴァージニア滝の落差は、ナイアガラの滝の2倍 カナダの北西部、ノース...
  3. アメリカでは事故に遭い怪我をした場合、弁護士に依頼することが一般的です。しかし日本にはそう...
  4. グッゲンハイム美術館 Solomon R. Guggenheim MuseumNew York ...
  5. 2023年2月14日

    愛するアメリカ
    サンフランシスコの町並み 一年中温暖なカリフォルニアだが、冬は雨が降る。以前は1年間でたった...
  6. キルトを縫い合わせたような美しい田園風景が広がるグラン・プレ カナダの東部ノヴァスコシア州に...
  7. 本稿は、特に日系企業で1年を通して米国に滞在する駐在員が連邦税務申告書「Form 1040...
  8. 九州より広いウッド・バッファロー国立公園には、森と湿地がどこまでも続いている ©Parc nati...
ページ上部へ戻る