身体をほぐして痛みをなくす
天城流湯治法
- 2017年4月3日
- 2017年4月号掲載
Health
健康に関する最新のトピックスや、話題の健康法の体験レポートをお届けする。
普段から首の痛みが酷い。毎日、パソコンに向かってタイプし続けているせいだと思うが、そのうち膝の痛みにも襲われるのではないかという漠然とした不安も抱えている。そこで、未然に防げる方法に思いを巡らしていた時、知り合いの70代の女性が月に1回通っているという健康教室のことを思い出した。
早速、主宰者の井上小夜子さんにアポを取り付け、マーチンルーサーキングデーの祝日にロサンゼルス郊外のトーランスにある教室を見学させてもらった。その日の生徒さんは4人。知り合いの女性の姿もあった。「彼女が一番古い生徒さんです。ここに通い始めた2年前は杖をついていたのに、もう必要ではなくなっています」と井上さん。ヨガを教えている女性も習いに来ている他、前年の年末から仲間入りしたという女性は、膝の手術をした後にここを知って通い始めたそうだ。
井上さんは子どもの頃から病気がちだった。さまざまな症状を経験した末にたどり着いたのは、人間の持つ自然治癒力を引き出して健康になるという考え方だった。現在、井上さんが実践しているのは、日本の杉本錬堂さんが編み出した天城流湯治法。杉本さんがセドナを訪れた際に会う機会があり、直接、湯治法を学んだ。気になるコンセプトは、「身体の滞りをほぐす」というもの。例えば、歩いた時に膝の真ん中が痛い人の場合は、ふくらはぎの中心を熱心にほぐしていく。井上さん曰く「骨から筋肉をはがすように」揉み続ける。滞りをなくすことで血液、リンパ、「氣」が綺麗に流れていく。
ただし、膝痛にはそれぞれタイプがある。膝の下やまわりが痛む場合は膝の上の大腿の骨のふちに滞りがある。よって膝の上をほぐして、腱を動きやすくする。立った時に最初の1歩でズキンと痛みを感じる場合は、アキレス腱のふちに滞りがあるため、アキレス腱の周囲の硬い部分をほぐす。
骨と筋肉の関係
「筋肉と筋と骨が癒着してしまうと滞りが生じ、滞りが筋膜を硬くし痛みが生じます。筋肉と筋と骨がバラバラになっていることでそれぞれの機能が働きやすくなるのですが、筋肉や筋が骨とくっついてしまうと筋肉が硬くなり、骨を守れなくなってしまうのです。そうすると、伸縮性のない骨が筋肉の代わりをしてしまうことで、骨折が生じやすくなります」と井上さん。骨と筋肉をはがすことでうつ病にも効果が期待できると言う。非常に奥が深い。
「ただし、即効性はありません。勿論、長い間抱えていた問題が 霧の晴れるように改善することはありますが 少しずつ根気よく続けていくことで、半年後、1年後に驚くような結果に結びつきます」
私が生徒さんの体験談を聞いている間、井上さんは丁寧に私のふくらはぎの裏、そして足の裏をほぐしてくれた。「通ってくる皆さんの症状が少しずつ良くなるのを見るのが嬉しい」と話す井上さんだが、やはり健康管理は自分でやらなくては意味がない。自宅でもせっせと骨と筋肉をはがして身体を柔らかくしなければ、と心に誓う。しかし、不安を抱える膝痛を防ぐには、まず体重を減らすことが先決ではないか。すると井上さん、「体重を減らすための方法もあるんですよ」と教えてくれた。それを知るためだけでも健康教室に通う価値があるかもしれない。
問い合わせ:井上小夜子さん
323-273-2383
詳細:amagiryutojihou.main.jp
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