乳幼児玩具の業界で
グローバルリーダーを目指す
- 2017年5月1日
- 2017年5月号掲載
New Business Close Up
アメリカで新たな事業を手がける人物をクローズアップするインタビューシリーズ。
日本で40年の歴史を持つ玩具メーカー、ピープルの米国法人として2016年に設立された
People Toy Companyの代表、ヴァレンタ氏に聞く。
ピープルとの関わり
私が最初に知育玩具で知られるピープルのことを知ったのは、父の会社であるValtechを通じてでした。Valtechはピープルから輸入したピタゴラスのタイルを、米市場では「マグナタイル」として販売しています。過去10年にわたり、私は製造元であるピープルと密接に連絡を取りながら働いていました。当時、私はマグナタイルのデザインに関してのみ携わっていましたが、常にピープルの乳幼児玩具のコンセプトには共鳴していました。
乳幼児玩具に携わる中で、それらの製品への情熱は年を追うごとに高まっていった結果、米国を手始めに、世界市場に向けてピープルの製品を売り込むラインアップを創造したいという考えに至ったのです。提案の3年後、私共はピープル社と協働して、ブレインビルダー、モチ、ピープルブロック・シリーズを、アメリカを中心とする日本国外の市場に送り込むことに成功しました。
米国市場での可能性と課題
米国市場には大きな可能性があると信じています。アメリカの親たちは子どもを成長させることができる新たな方法を探しており、私共の製品こそ、まさにその新たな方法です。親の視点から作られた当社の製品は、子育てを支援します。私共の使命は、乳児の健康的な成長を促進する、また育児に携わる親御さんにもポジティブな影響を与えるということです。一方、最大の課題は、日本のお母さんたちが発見する我が子の1カ月ごとの成長に対する喜びを、米国のお母さんたちにも共感してもらえること、そしてその数をいかに増やせるかという点だと思います。
また、日本ではピープルは非常に有名な企業であり、ブランドとして認知されているだけでなく、個々の商品についても知られています。米国市場では、私共は個々の商品ではなく、ピープルとしてのブランドを確立する必要があります。
通常は企業が新たな子会社を外国に設立する場合、日本で実績がある人を派遣し、その子会社の責任者に据えます。しかし、当社の日本本社の場合は、この従来のやり方では上手くいかないと考えたのです。その派遣された人が日本で実績があればあるほど、彼は同じ手法を勝手が違う外国でも押し通そうとする傾向があります。米国を知らない、親会社が管理するトップダウン方式では成功に導くことは不可能なのです。
10年後のピープル像に向けて
私共の製品は日本での綿密な調査に基づいて開発されています。それらの製品を米国市場で受け入れてもらうには、アメリカ人の親に「新しい」と感じさせることが非常に重要です。この点に関して、日本人の母親を持つ私は日本とアメリカの違いを実際に経験、認識していることから、親会社は米国の新法人の代表に私を任命しました。実際のアメリカの生活様式、文化、ビジネスルールを知り、開拓と創造の精神と情熱を持った私のようなアメリカ人が、当社を成功に導くと確信しています。
10年後には、乳幼児玩具の業界で、日本や米国だけでなく、グローバルなリーダーの座に着くことを目指します。当社、ピープルトイカンパニーは、米国の親御さんたちが求める親子双方の成長と楽しみを掘り起こす革新的なデザインのブランドとしての信頼を勝ち取りたいと願っています。
Valtech社で約10年間、乳幼児玩具の商品開発、マーケティングに携わる。2016年、日本の乳幼児玩具メーカー、ピープルが100%子会社としてニューヨークに設立したPeople Toy Company,Inc.のプレジデントに就任。「起業家であり、新しい冒険を探し続ける、永遠の楽天主義者」と自らを語る。
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