第4回 「湖とマグノリアの花たち」
ルイジアナ州
文&写真/小野アムスデン道子(Text and photos by Michiko Ono Amsden)
- 2017年6月4日
- 2017年6月号掲載, ルイジアナ州
プレスリーを生んだ町
そして、絶景の湖へ
広いアメリカ、こんなところがあったのかという旅先を紹介していく本シリーズの第4回はルイジアナ州。同州のイメージと言えば、ミシシッピ川南端の町ニューオリンズのにぎわいが思い浮かぶが、今回訪れたのは北西部。バス釣りで有名なトリード・ベンド湖やルイジアナ最古の町ナッキトッシュを訪れての、歴史ある、ひと味違うたおやかなルイジアナの旅をご紹介する。
シュリーブポート空港から45分ほどのダウンタウンにあるシュリーブポート公会堂は、まだ無名でトラックの運転手だったエルビス・プレスリーが初めてコンサートを開いた場所。当時の音源を聞くと、19歳でステージに立ったエルビスの歌は聴衆が熱中するほどすでに上手かった。1926年築のアールデコの立派な建物で、こんなところからアメリカのロックンロールが始まったのだとちょっと驚く。
そこからさらに南に1時間半ほどドライブすると、広大なトリード・ベンド湖が広がる。湖のすぐ向こうはテキサス州。湖の目の前に庭園が広がる「サイプレス・ベンド・リゾート」は、400エーカーの敷地にゴルフ場、ホテル、レストランにスパを備えている。湖が一望というロケーションにラグジュアリーな造りだが宿泊料金は129ドル〜。トリード・ベンド湖は、バス釣りで有名で、1日5ドル払えば誰でもライセンスを取って釣りができる。基本的には、釣った後はリリースするスポーツフィッシングで、ここで一番大きなバスを釣り上げた2人のうち、1人は日本人だという。ガイドについてもらって湖に繰り出すと、さすが釣り場を選ぶプロ、初心者でもクラッピーという小さな魚がどんどん釣れて夢中になる。
『マグノリアの花たち』が
咲き誇った町へ
湖畔のリゾートから1時間ほど東へ。ルイジアナ州で一番古いナッキトッシュNatchitochesの町へ向う。ちょっと発音が難しいのは、フランス領だった名残。ここは、他にスペイン、アフリカ、アメリカ先住民、クレオールという多様な文化の影響を受けた街並がケーン川沿いに並び、国定歴史的建造物地区に指定されている。うら若きジュリア・ロバーツやサリー・フィールドなど名女優が競演した『マグノリアの花たち』のロケ地だった町。石畳にレンガ造りにアイアンレースの鉄柵が美しい建物が並ぶ。「メルシー・ボク」とフランス語の名前のレストランの南部料理は秀逸のおいしさ。
また、町からすぐの「メルローズ・プランテーション」は、国定歴史建造物で、最初の所有者は自由奴隷。そして白人の教師へと所有が移り、そこで綿花労働をしていた後に有名なアフリカンアメリカンのフォークアーティストとなったクレメンティーン・ハンター(Clementine Hunter)が住んでいたところ。彼女の自然な作風の作品からは当時の生活が伺えて興味深い。
■ サイプレス・ベンド・リゾート Cypress Bend Resort
http://www.cypressbend.com
■ メルシー・ボク Merci Beaucoup
http://www.mercibeaucouprestaurant.com
■ メルローズ・プランテーション Melrose Plantation
http://www.melroseplantation.org*ルイジアナ州シュリ―ブポート空港は、アトランタもしくはデンバーから約2時間。
取材協力 ミシシッピ・リバー・カントリーUSA日本事務所 https://mrcusa.jp
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