大企業で働いているほうがすごいの?


「どちらに勤務されているんですか?」
この質問に対する答えが大企業なのか、もしくは中小企業なのかで、明らかにリアクションが違う方を時々見かけます。また、職務内容や業種によっても反応が違う方もいらっしゃいます。果たして、大企業で働いている人のほうが「すごい」のでしょうか。
確かに、誰もが聞いたことのあるような企業にお勤めされているということは、入社にあたりそれなりの関門をかいくぐってきた方でしょうし、世間一般が納得するような履歴書をお持ちなことかと思います。よって、手っ取り早くアピールできるのは、そういった大企業の看板を背負っている方かもしれません。
ただその一方で、働いている本人が果たして毎日充実したワーキングライフを過ごしているか? となると、まったく別の問題となります。
私は職業柄、色々な方々とお会いします。同社内の社員はもちろんのこと、取引先のお客様やサプライヤーさんなど、実に多種多様な人達とお会いする機会があるのですが、ここで共通して言えるのは、「企業の規模」と「働いている本人のハッピー度」というのは、必ずしも比例しないという点です。

例えば、取引先サプライヤーさんの1つであるA社。社員規模が20名弱のとても小さい会社です。ですが、定例会議等でA社の営業さんにお会いするたびに、「最近こんな新プロジェクトを始めてね」とか、「新規顧客を増やすためにこうしているんだけど……」といったコメントを、目をキラキラさせながら生きいきと話してくれるのです。そのたびに、「あぁ、この方は毎日120%充実したワーキングライフを送られているのだな」というのが手に取るように分かり、お話を聞いている私の方まで「よし、頑張ろう!」といったポジティブなエネルギーをいただけるのです。
一方で、ある大企業にお勤めの方とお話をすると、真逆のことが起こったりします。しかも、かなり上の役職の方です。もちろん勤務中にはそのような話は挙がらないのですが、夜の会食や雑談の機会があると、「実はね……」から始まり、大企業の歯車として働くが故の不平不満が堰を切ったように流れ出てくることも。当然、話を聞いているこちらも、期せずして負のエネルギーをいただく羽目になります。
もちろん、大企業でポジティブかつエネルギッシュに活躍されている方々もたくさんいらっしゃいますし、中小企業で勤務されている愚痴の塊みたいな方もいらっしゃいますので、一括りにどうこう言うことはできないのですが……。

要は、働いている本人がいかにやりがいや目的を持って日々過ごしているかが大事なのであって、会社の規模や仕事の業種、役職等は二の次、三の次のはず。器で物事を判断しないようにしたいですね。
もっとも、このように偉そうに記事を書いている私も、実は反省すべき体験をしました。

ある日本出張時の話です。夜の会食後の2次会等で、いわゆるホステスさんがいるお店に連れていっていただいたことが何度かあるのですが、正直私は、そういう場で働いている女性にある種の偏見を持っていました。

でも、いざお店の女性達と話してみると、夜のお仕事でも頑張っている女性はたくさんいると知りました。例えば日中はOLさんや介護の仕事をフルタイムでしていて、なおかつ夜も働いている方や、普段は調理師学校に通っていて、夢は海外有名ホテルのレストランでシェフになるなど。皆、目をキラキラさせながら自分の目的や夢を叶えるべく頑張っていました。

決して夜の店の勤務を推奨しているわけではないですが、偏見の目で見てしまっていた自分を恥ずかしく思いました。

頑張っている方々はたくさんいます。器で物事を判断せず、中身を見られる人になりたいですね。
同じアメリカで働く皆様、今日も一日頑張っていきましょう!

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北村祐子 (Yuko Kitamura)

北村祐子 (Yuko Kitamura)

ライタープロフィール

在米23年。津田塾大学を卒業後に渡米し、ルイジアナ大学でMBAを取得後、テキサス州ダラスにある現在の会社で勤務すること20年目。ディレクターとして半導体関係の部品サプライチェーン業務に関わるかたわら、アメリカで働く日本人女性を応援しようと日々模索中。モットーは、「鳴かぬなら 鳴かせてみせよう ホトトギス」。

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