仕事・家庭・育児の両立……
日米ではどう違う?

アメリカで働く女性の皆様、現在のライフステージはどのあたりでしょうか? 独身で、バリバリ仕事をしているところですか? それとも結婚や出産等の過程を経て、今後の進め方を模索しているところでしょうか。

日米に限らず女性のキャリアライフを考えると、結婚・出産・育児など、さまざまな岐路に立つ機会があります。特に出産は大きな分岐点となりますね。そこで仕事を辞めるのか、働き続けるのか。働くなら、フルタイムのワーキングウーマンとしてやっていくのか、それとも仕事はセーブしていくのか。

各家庭の事情もあるので、一概に「これが正しい」という答えはありません。日本で出産後に働く女性の選択肢は、理解のある会社であればバリバリと働くこともできますが、いわゆる「マミートラック」的な流れで地道に続けるか、もしくは退職し、時間の融通が利くパート等へ切り替えるか……といった状況に陥ることも多いと聞きます。ですが、アメリカでは必ずしもそうではないようです。事実、フルタイムの仕事と家庭・育児を両立しているスーパーウーマンがたくさんいます。

もし貴女が「結婚・出産後もアメリカでフルに仕事を続けていきたい」と考えているのであれば、それは大いに可能です。決して平坦な道ではありませんが、私たちの前を歩んでいる先駆者のスーパーウーマンたちをモデルとして、頑張っていきましょう!

日本と比べるとアメリカでは、フルタイムで働く妻を理解し、サポートし合う夫婦が多いという印象を受けます。日々の家事や子どもの習い事の送迎、PTA活動など、毎日忙しいのは日米同じ。ただ、その負担が夫婦間でうまくシェアされているようです。

最近では日本でも夫婦間の家事・育児分担が進んできているようですが、あくまで「家事のメインは妻で、夫はサブ」という発想が根底にあるように思います。事実、「社会生活基本調査」*(2011年実施)による夫側の家事分担率を見ると、アメリカは40.0%、スウェーデンは38.3%、ドイツは35.3%、フランスは33.0%、イギリスは32.8%です。一方、日本は18.5%。大きく引き離されています。

ただ、この数値だけを見て日本人男性を非難するのは早合点かもしれません。日本では正社員の勤務拘束時間が他国に比べ格段に長く、大分減ってはきたものの、慢性的な残業等も根強く残っています。よって必然的に、片方(主に夫側)がフルタイムで残り、もう片方(妻側)が、時間調整しやすい仕事へ切り替えているのも理由の一つかもしれません。今後は各個人の意識改革だけでなく、社会や企業の働き方改革も進んでいくといいですね。

一方アメリカでは、男女問わず、びっくりするほど家庭の事情を仕事に挟んできます。たとえば、「その日は子どものピアノなので、会議に出られません」などと普通に断ってくる社員もザラです。ここまで潔いと、「あ、そうなんですね」と受け止めて対応していくしかありません。慣れない日本人は「そんな理由が通用するものか」と思いがちですが、これも考えよう。会社、ひいては社会全体がOKなのであれば、男女問わず平等に、家庭に貢献しやすいですね。

これだけ書くとアメリカの妻は大分楽をしているように見えるかもしれませんが、そう単純な話でもありません。たとえば産休。会社の制度にもよりますが、アメリカでは出産予定日の1週間前、極端な場合は出産前日まで仕事を続け、出産後も、2~3カ月後には子どもをデイケアに預けてフルタイムで復職される女性をよく見ます。

また、ワーキングウーマンは残業もあれば出張もあります。アメリカで働き続けたいなら、身近にあるサポート施設等を活用し、日頃からパートナーと会話をして、体制を整えておきたいですね。

仕事が忙しいのは夫婦ともどもお互い様。私たち女性もサポート依頼ばかりでなく、夫が忙しい時は自分の日程を調整し、ギブアンドテイクな関係でやっていきましょう。
そしていつか私たちの後に続く、次世代ワーキングウーマンたちのロールモデルになれたらいいですね!

*「社会生活基本調査」データソース:
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO83748600X20C15A2000000

この記事が気に入りましたか?

US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします

北村祐子 (Yuko Kitamura)

北村祐子 (Yuko Kitamura)

ライタープロフィール

在米23年。津田塾大学を卒業後に渡米し、ルイジアナ大学でMBAを取得後、テキサス州ダラスにある現在の会社で勤務すること20年目。ディレクターとして半導体関係の部品サプライチェーン業務に関わるかたわら、アメリカで働く日本人女性を応援しようと日々模索中。モットーは、「鳴かぬなら 鳴かせてみせよう ホトトギス」。

この著者への感想・コメントはこちらから

Name / お名前*

Email*

Comment / 本文

この著者の最新の記事

関連記事

アメリカの移民法・ビザ
アメリカから日本への帰国
アメリカのビジネス
アメリカの人材採用

注目の記事

  1. 2024年10月4日

    大谷翔平選手の挑戦
    メジャーリーグ、野球ボール 8月23日、ロサンゼルスのドジャース球場は熱狂に包まれた。5万人...
  2. カナダのノバスコシア州に位置する「ジョギンズの化石崖群」には、約3 億5,000 万年前...
  3. 世界のゼロ・ウェイスト 私たち人類が一つしかないこの地球で安定して暮らし続けていくた...
  4. 2024年8月12日

    異文化同居
    Pepper ニューヨーク同様に、ここロサンゼルスも移民が人口の高い割合を占めているだろうと...
  5. 2024年6月14日、ニナが通うUCの卒業式が開催された。ニナは高校の頃の友人数名との旅行...
  6. ラブラドール半島のベルアイル海峡沿岸に位置するレッドベイには、16世紀に繁栄したバスク人による捕鯨...
  7. フェムケアの最新事情 Femcare(フェムケア)とは「Feminine」と「Car...
  8. 日本では、何においても横並びが良しとされる。小学校への進学時の年齢は決まっているし、学校を...
ページ上部へ戻る