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Amuse Group USA, Inc./ヒロコ スタンホープ氏
「アメリカで働く」インタビュー
- 2018年5月30日
日本とアメリカの働き方の違いは?
どんな経緯でここに至り、どんな思いをもって仕事をしているのか。
実際にアメリカで働く人へのインタビューシリーズ
総合エンターテインメント集団Amuse Group USA, Inc.のVice Presidentヒロコ スタンホープさんに話を聞いた。
アメリカに来た経緯
私自身はじめは学生として渡米し、その後Jホラー(ジャパニーズホラー)の立役者である映画プロデューサー、一瀬隆重さんのロサンゼルスオフィスで16年程働きました。『リング』を筆頭として世の中にJホラー映画ブームを引き起こし、『呪怨』のハリウッド・リメイク版の『The Grudge』ではプロデュースチームとして携わりアメリカで大ヒット。全世界でも182ミリオンというとてつもない興行収入となった、そのブームの中心にいました。その時に現地のスタジオとの交渉などを任されていて、日本人のほとんどいないハリウッドのど真ん中で仕事をしていましたので、ハリウッドのシステムを学ぶことができ関係者達とのネットワークが出来ました。
そのネットワークと経験を活かし、日本とハリウッドの橋渡しをする仕事がしたいと思っていた時にAmuseがアメリカに進出する話があり、立ち上げからUSAの事業に携わることになったんです。
仕事内容
日本のAmuse Inc.はサザンオールスターズや福山雅治などをマネジメントしている総合エンターテインメント企業です。その米国子会社として2014年にAmuse Group USA, Inc.を設立しました。日本のAmuseはアーティストマネジメントだけでなく、『永遠の0』や『深夜食堂』などの映画およびTVシリーズの企画や製作、出資、アパレル事業やプレイスマネジメントなど多岐に渡る事業展開をしています。実はオリーブオイルの輸入販売も行っているんですよ(笑)これだけでもチャレンジ精神旺盛で活発な会社だとわかっていただけるかと思います。
現在はシンガポール、韓国、フランス、中国などの海外子会社が全世界に8社あるのですが、それぞれ異なる内容のビジネスを展開しています。
Amuse USAとして
1つ目はAmuse, Inc.所属アーティストの海外におけるマネジメントサポートおよびUSA所属タレントのマネージメント事業です。実はこのUSAオフィスが設立した2014年は、ONE OK ROCK、BABYMETAL、Perfumeが世界デビューを果たしたタイミングだったので、最初は本社所属のアーティストのサポートでとても忙しかったですね。
近年は、USA所属音楽アーティストやタレントのブッキングおよびマネジメントを開始し、海外グループ会社世界と協力しあうインターナショナルキャスティングもスタートしています。
2つ目は音楽およびイベント事業です。前出のようにローカルアーティストのマネジメントをしています。SHoTALodiとCrimson Appleというアーティストがいます。イベントではアニソン歌手が一同に集結するAnisong World Matsuriの運営などを行っており、今年2018年もアニメエキスポとパートナーを組んで7月にロサンゼルスのマイクロソフトシアターで3日間に渡って開催されることが決定しています。
3つ目は映像事業です。日本のコンテンツとハリウッドを繋げる役割をしているというと分かりやすいかもしれません。日本は製作委員会方式で映画やTVが製作させるため権利が分散していて、海外にコンテンツを売る際に非常に複雑な手順を踏まないといけないんです。そのため、ハリウッドの監督やスタジオが「この作品をリメイクしたい!」と思ってもその複雑さで諦めてしまっているもったいない現状があったりします。すばらしい作品がたくさんあるのに、です。
そこで、日本の良質なコンテンツがもっとハリウッドに進出していけるお手伝いをしようと、2016年に『J-CREATION: Firstlook Showcase』というプロジェクトをスタートしました。日本のコンテンツの権利をAmuse USAが預かり、すぐに契約交渉に入れる状態にし、年に一度日本からライツホルダーの皆さん、ハリウッドからはスタジオ関係者、プロデューサー、エージェントなどを招待してプレゼンをするイベントを主催しています。第2回目の昨年はパラマウント・ピクチャーズやフォックス、ネットフリックスなど300名ほどの関係者の方にお越しいただきました。またその中で、現在交渉が進んでいる作品もあり、非常にワクワクしています。私自身のフィルムのバックグラウンを活かし、日本の知的財産が世界に出るハブになれればと思っています。
日米の働き方の違い
ハリウッドは白黒はっきりしていて分かりやすいですし、話が早いです。日本は「和」を大切にしている文化ですので、行間を読まなくてはいけない部分がありますよね。私は日米どちらとも就業経験がありますので、行間を理解しながらアメリカのスピード感をもって仕事をするように心がけています。
ただ、日米双方に言えることは「人との繋がり」だと思います。これは国や文化は関係なしで、一度信頼良い関係が出来るとその後もずっと繋がっていくものです。仕事のやり方は違えど、根幹の部分は共通しているのではないでしょうか。
アメリカで働きたい人へのエール
ハリウッドには世界中からトップレベルの方が集まってきます。ここは世界のトップと触れ合える場所です。もちろん壁は厚いですが、エンターテインメント業界に限らず、何をするにも世界レベルを目指す人にとっては挑戦しがいのある場所だと思いますし、まだまだチャンスはたくさんあると感じます。自分を信じて頑張ったらそれなりのレベルのことが実現する、そんな夢のある場所です。
AMUSE GROUP USA, INC.
■ ホームページ:http://www.amusegroupusa.com/
■ 電話:310-314-5280
■ 住所:3975 Landmark Street, Suite 1400, Culver City, CA 90232
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