- Home
- ビジネス・社会
- 米国日系企業トップインタビュー
- おいしい肉をファストフードで提供 目標は全米主要都市に 「いきなり!ステーキ」
おいしい肉をファストフードで提供
目標は全米主要都市に
「いきなり!ステーキ」
- 2018年5月1日
- 2018年5月号掲載
TOP INTERVIEW Vol.10
アメリカ市場に勝負を賭ける日系企業のトップに聞く。
株式会社ペッパーフードサービス代表取締役社長
一瀬邦夫 / Kunio Ichinose

視察に訪れた「ペッパーランチ」のアーバイン店で
Photo © Keiko Fukuda
日本に251店舗
日本の「いきなり!ステーキ」は、1号店を4年4カ月前にオープン、現在は251店舗を展開しています。1店舗あたりの平均の月商は1800万円前後です。全体では昨年の年商が330億円、今年は660億円を狙っています。
日本の実績を引っ提げて、アメリカでもいけるだろうとの読みで、去年の2月23日にマンハッタンのイーストヴィレッジにアメリカ1号店を出しました。
日本では初年度に30店舗開店しましたが、アメリカはやっぱり広い国で、そう簡単にはいかないというのが正直なところです。また、日本では大ヒットしている「肉マイレージ」のシステム。これはすでに500万枚は発行されていて、登録人数60万人という大ヒットした特典プログラムです。リピーターのお客様はほとんど持っています。アメリカにも「肉マイレージ」のニーズはあるだろうと思っていますが、チップの計算とマイレージ付与の両立の難しさがあり、今後、その辺りを整理していく必要があると感じています。
シンプルにスピーディーに
アメリカでの課題は、サービスをさらにスピーディーに行うことです。先進国の人は時間に追われていますからね。いかに短時間でおいしいものをお客様に食べていただくかが勝負です。 通常、ファストフードというと粉物ですが、我々はステーキをファストフードとして提供しているのです。おいしい肉を迅速にリーズナブルな料金で出すことで、お客様に喜んでいただけるだろう、というのがこのビジネスをやっている動機なのです。
スピーディーなサービスには、店のメニューをシンプルにすることも貢献します。いろいろなメニューがあると、お客様は悩みますから。「これ、ちょうだい」とすぐに決められて時間がかからず、キッチンの内部もシンプルにすることができます。レジ渋滞も回避できます。
目標は全米に1000店を展開することです。5年後には全米の主要な都市には「いきなり!ステーキ」があるような状況を作り出したいですね。「おいしい厚切りのステーキ」を食べたいなら、「いきなり!ステーキ」に行くということが習慣になるといいと思います。また、「ペッパーランチ」はカリフォルニアでエリアフランチャイズ契約をしていますので、当面、カリフォルニア内で多店舗化が進んでいきます。
「フレッシュ・エイジング」ビーフ
肉といえば、一部の高級店ではエイジングビーフの人気があります。しかし、私個人はあまり好きではありません。エイジングビーフは熟成させた肉を細かく切って、その中でもさらに小さい部位を使います。もったいないですよね。
我々が使用する肉のことは、「フレッシュ・エイジング」と呼び、その商標も取得しました。アメリカ人に言わせれば、「フレッシュ」と「エイジング」は相反する意味を持つ、つまり英語にはない言葉だということですが、言葉は新しく作ればいいのです。我々はおいしいフレッシュな肉を使っていきます。
アメリカの印象? 日本と違っていろいろな人がいるなあ、と思いますね。また、日本人の常識では図ることができないとも思います。でも、私の経験上、アメリカ人には素直な人が多いです。きちんと理由を説明すれば分かってくれます。我々のニューヨークのスタッフは非常に優秀ですよ。
アメリカで楽しみにしていることは、今回、ニューヨークに滞在している間にヤンキースのマー君(田中将大選手)の試合を見ること。エンゼルスの大谷翔平選手の活躍も嬉しいです。日本では非常に盛り上がっていますよ。
静岡県生まれ。洋食店、ホテルの料理人を経て、1970年「キッチンくに」を開店。その後、ステーキ専門店を手がけ、1985年に株式会社ペッパーフードサービスを設立。同社は2006年に東証マザーズ上場、2017年に東証一部に上場した。現在は日本で成功させたレストランチェーン「いきなり!ステーキ」「ペッパーランチ」を、世界各地で展開中。好きな食べ物はステーキ。
http://www.pepper-fs.co.jp/
この記事が気に入りましたか?
US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします