出産について考えよう Vol.2
〜着床前診断とは その1〜
- 2018年6月13日
不妊治療や卵子提供、代理出産など、妊娠に関する悩みを持つ人は多くいます。そんな方々のために、不妊治療をサポートする専門のエージェンシー「LA Baby」が、不妊治療の可能性や選択肢の正しい情報を紹介していきます。
着床前診断とは、受精卵の段階で染色体異常がないかを調べる検査のことです。着床前診断をした場合、染色体異常がない受精卵を移植することができるため、疾病の遺伝や流産率を大幅に低下させます。
また、着床前診断をすることで受精卵の性別も判別でき、患者様が希望する性別の受精卵を移植することが可能です。つまり、男女産み分けもできるということです。
染色体に関する基礎知識
着床前診断について知るうえで、染色体に関しての基礎的な知識はとても重要です。ここからは、染色体に関して知っておくべき知識をご説明します。
私たちの体の細胞一つひとつには、23対46本の染色体が存在します。23対のうち1~22番目までは「常染色体」、23番目は「性染色体」です。この23番目の性染色体を見ることで、性別が分かります。それが男女産み分けをできる理由です。
また、染色体を見ることで、疾患も判別できます。たとえば、21番目に異常があればダウン症候群です。18番目に異常があればエドワーズ症候群。13番目ならパトー症候群など、着床前診断をすることで、染色体異常によって起こる症状を避けることができます。
近年、染色体異常の増加が問題視されています。以前、筆者は研究所で生殖腺と環境問題の関連性について研究をしていた時期がありました。国や地域別に染色体異常の報告に差が生じているのは、環境問題にも原因があるのではないかと考えています。
赤ちゃんの性別や血液型は受精卵で決まる
赤ちゃんの性別や血液型は受精卵によって決まります。正確には、赤ちゃんの性別や血液型は遺伝子で決まります。体を作るために必要なすべての情報は、受精卵に含まれている遺伝子にあるからです。
赤ちゃんの性別は、DNAが連なってできた糸状の性染色体で決まります。性染色体には、X染色体とY染色体の2種類があります。X染色体が2本あると女性。X染色体とY染色体が1本ずつあると男性です。Y染色体は1本でもあれば男性となります。
ただし、XXYやXXXYなど、X染色体が多いと、胸が膨らむなど女性の特徴を持つクラインフェルター症候群になります。XYYやXYYYなどY染色体が多いと、身長が高くなる特徴のスーパー男性症候群になります。また、XXXなど染色体の異常分割でXのみの性染色体が多いと、多少消極的で発育が遅れるスーパー女性となります。
このような理由から卵子提供プログラムでは遺伝学も理解する必要があり、生殖医療学会でも遺伝学の専門家による発表の数が多数あります。昨年は遺伝子編集の技術に関する大きな発表もあり、今後も注目される分野の一つです。
ここ数年、弊社の卵子提供プロラムでも着床前診断を希望されるご夫婦が増えました。男女産み分けを希望される方もいます。患者様にはそれぞれの事情があり、それぞれの家庭環境や生活があります。
着床前診断に関して賛否両論はありますが、少なからず必要とする患者様はいます。ご自身の事情に合った選択肢の一つとして、頭の片隅にしまっておいてください。
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