出産について考えよう Vol.4
〜高齢出産によるリスク〜
- 2018年8月16日
不妊治療や卵子提供、代理出産など、妊娠に関する悩みを持つ人は多くいます。そんな方々のために、不妊治療をサポートする専門のエージェンシー「LA Baby」が、不妊治療の可能性や選択肢の正しい情報を紹介していきます。
現在、日本産婦人科学会や世界保健機関(WHO)では、35歳以上の初産婦を高齢出産と定義しています。高齢出産は妊娠・出産でのリスクがありますが、自己卵子による高齢出産は染色体異常の面でのリスクも高くなります。
米国ダウン症候群協会の報告書によると、このような結果が発表されています。妊婦の卵子が30歳の場合、約900人に1人がダウン症。35歳の場合、約350人に1人がダウン症。40歳以上の場合、約100人に1人がダウン症と、年齢とともにその確率は徐々に増えていきます。
卵子提供プログラムに切り替える人がもっとも多い43歳では、50人に1人がダウン症になる可能性があるといわれています。そして、49歳では10人に1人です。ご主人の年齢とダウン症との関連性に関する報告書はありませんが、男性も40歳を過ぎると染色体異常の精子が増え始めます。
ダウン症候群について
ダウン症候群とは、21番染色体が1本増えることで発症する先天性疾患です。ダウン症候群のお子様は、成長がゆっくり発達することが多いです。現在、ダウン症候群の赤ちゃんは、40年前の3倍以上に増えています。それぞれのお子様は個性が豊か。
着床前診断とは
前回の記事で前・後編に分けて説明しましたが、着床前診断とは染色体異常がないかどうか、受精卵の段階で検査することです。着床前診断により染色体異常がない受精卵を移植できますので、疾病の遺伝や流産率を減らすことができます。ダウン症候群についても、着床前診断を行って21番の染色体に異常がない受精卵を移植することは可能です。
高齢になるほど、染色体異常のある受精卵が増え始めます。現段階で、弊社卵子提供プログラムを介してダウン症のお子様が産まれた報告例はありません。ただ、これからも同様に出産後もできる限り患者様と連絡をとり、データ収集に努めたいと思います。
エドワーズ症候群について
染色体異常といえばダウン症候群を思い浮かべる方が多いようですが、ダウン症候群の次に多いのはエドワーズ症候群です。エドワーズ症候群とは、18番目の染色体が3本ある場合に発生する先天性の遺伝子疾患です。
エドワーズ症候群の多くは自然流産してしまいますが、生後1年の生存率は10%程度です。赤ちゃんは体重が少なくて頭が小さく、後頭部が突出している特徴があります。重度の心疾患や無呼吸発作等の心配があり、生後10年の生存率は1%未満といわれています。
生殖医療の技術向上によって、高齢での妊娠が増えました。その一方、卵子や精子の老化によってエドワーズ症候群の発生例が増加しているというデータがあります。43歳以上で卵子提供プログラムに治療を切り替える患者様が多いのは、ダウン症とともにエドワーズ症候群などの染色体異常が理由でもあります。もちろん染色体異常だけが理由ではありませんが、着床前診断によってすべての染色体を調べ、18番目に異常がない受精卵を移植することは可能です。
着床前診断を行いますと、このようなリスクを避けて正常な受精卵のみを移植することが可能です。着床前診断の技術やデータは常に進歩しています。賛否両論のある繊細な分野ではありますが、少なからず必要とする患者様はいます。その患者様のためにも、私たちは日々最善を尽くして最新のデータを収集し、サービス向上へ役立てています。
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