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K&K International Inc.久場健吾氏
アメリカのビジネスは、今
- 2018年7月24日
今、アメリカのビジネスシーンはどうなっているのだろう?
困難をどう乗り越えたのか。成功の鍵はどこにあるのか。
キーパーソンに、アメリカでのビジネスのヒントを聞いた。
K&K International Inc.の代表、久場健吾氏に話を聞いた。
ビジネスの詳細
K&K International Inc.は日本、オーストラリア、アメリカ産の和牛のハワイからニューヨークまでのディストリビューションを行っている会社で、日本の和牛の輸入と販売がメインとなっています。今年で18年目を迎え、今はアメリカに卸している和牛の半数程のシェアを締めています。
また、カリフォルニア州ロミータにあるJapanese BBQ “Tamaen” の経営も行っています。もともとお肉を卸していたお客様が経営されていたレストランで、3年前にテイクオーバーしました。お肉屋が経営している焼肉屋なので、お肉は非常に上質なものを提供できていると思います。
アメリカ進出の経緯
私が最初にアメリカに来たのは、20代後半の時。当時日本で勤めたいた飲料会社の駐在員として、7年ほどハワイで勤務していました。渡米は自ら希望しました。行き先がハワイだったこと大きいですね(笑)その時、お客様から「お肉を売らないか」という話があり、そこからこの和牛の商売をスタートしました。知り合いからテキサスの牧場を紹介してもらい1ヶ月ほど修行したりと、完全に新しい分野のビジネスの立ち上げでしたね。
和牛はアメリカのマーケットでも、高い需要があります。日本の肉と言うと今までは「Kobe Beef」という名前の方が浸透していたのですが、最近は「Wagyu」という名前を付けた焼き肉屋も全米で増えているほど、アメリカでに認知度は上がっています。さらに最近感じるのは、アメリカの食生活の変化ですね。アメリカ人はとにかく多くの量を食べる食生活だという認識をお持ちの方も多いと思いますが、最近は高品質の少量のものを食べる生活に変化しているように感じます。先日、テキサスのステーキハウスに行った際も、やはり少量のステーキを提供していましたね。
困難だったこと
2010年に日本で牛の口蹄疫の問題が発生した時は、2ヶ月程売上が立たず、かなり大変な時期を過ごしました。しかし、その時をきっかけに日本の和牛だけでなく、他の国の和牛も取り扱うようになったんです。非常に困難な状況でしたが、ある意味転機になりましたね。現在も80%は日本産の和牛ですが、他の20%はオーストラリアとアメリカ産の和牛を仕入れています。
働き方改革
アメリカでビジネスをしていく中で大変なことは、人の確保ですね。就労ビザが取りにくいなども問題もあり、優秀な人材を確保するのがとても難しいですね。
また良い人が見つかったとしても、育児や、家族の事情で休みが合わず、なかなか採用まで結び付かないことも多くありました。そこで、社員がより柔軟に働けるようにと、弊社では「週休3日制」を取り入れたんです。すると、驚く程求人に応募してくださる人の数が増えたんです。仕事をする面で、もちろんお金も必要ですが時間も大切というニーズが増えているのを実感しますね。さらに、柔軟な働き方にしたことで退職者が減り、長く務めてくださる方が増えました。
成長の秘訣
現在はインターネット社会ですが、あえて顧客先に足を運んで営業に行ったことが、この現在の会社の成長につながっていると思います。お肉を持って営業に回る日本人は当時いなかったんじゃないでしょうか。だからこそ、インパクトがあったんですね。弊社のことを知らないホテルやレストランはない、それくらい全米各地に足を運んで営業に励んできました。
ラスベガスも毎週のようにしつこく行きました。嫌な顔もされましたが、とにかく大きなクライアントがほしかった、その一心でした。その結果として、ベラジオのような大きなホテルとも取引が始まりましたし、有名なホテルに卸しているという信頼感は他の取引にも良い影響を与えますよね。また、お客様が在庫を切らしてしまったという時は、当日の配達が不可能なラスベガスでも、スタッフがお肉を抱えて飛行機に乗ってなんとかして運んだこともありました。そんなことするお肉屋は他にはいないと思うので、それは非常に印象的だったと思います。
アメリカのビジネスのポイント
一つは信用できるパートナーを見つけること。アメリカマーケットを知っている方と一緒にやっていくことが重要だと思います。もう一つは、叶えたいことを口に出していくこと。情報発信をすることで、いろいろな情報や繋がりができ、ゴールが近くなるのではないでしょうか。
また、経営者として心がけているのは、現場に出ないこと。社員を信頼して、他の人に頼むことも大切ですね。目の前の作業に追われていたら5年後も同じことなので、未来につながる仕事を考えています。
今後の展望
和牛に関しては、アメリカ以外の国への販売も広げていきたいと思っています。今はメキシコとの取引はおこなっているのですが、近年カナダやドバイなどでも ジャパニーズBBQの焼き肉屋さんが増えてきているんです。そうしたところへもビジネスを広げていきたいですね。
電話:(310)533-8166
住所:21151 S.Western Ave. STE 100 Torrance, CA 90501
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