〔ベトナム〕JICAとジェトロ、ビン市とMOC締結

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国際協力機構(JICA)ベトナム事務所と日本貿易振興機構(ジェトロ)ハノイ事務所は5日、ベトナム北中部のゲアン省ビン市人民委員会と連携協力覚書(MOC)を締結した。「農業・地方開発」「日本企業の投資促進」「グローバル人材育成」の三つの分野を中心に協力を進める。両機関が昨年締結した日本企業の海外展開支援に関する覚書に基づく、海外初の事案となる。

ゲアン省はベトナム全63省市中で最大の面積と4番目に多い人口(300万人以上)を有する。ビン市は省都で、ここ数年の発展は目覚ましい。市の中心部では建設中のビルも多く見られた。近年は、工業団地の建設や外資企業の誘致を積極的に実施。日越農相間で承認された2019年までの5カ年計画「日越農業協力中長期ビジョン」の重点モデル地域に指定され、フードバリューチェーンの構築支援などが展開されてきた。

今回締結したMOCの下、JICAはゲアン省向け政府開発援助(ODA)の成果の活用や、民間企業の提案型調査などで積極展開を実施する。加えて、ジェトロによる海外投資情報や企業進出支援策を通じた協力で相乗効果を図る構え。

「日本企業は一番重要なパートナー」

JICAベトナム事務所の小中鉄雄所長によれば、同取り組みの発端はゲアン省側からのアプローチだった。同省での実績を紹介し「農業支援などで培った関係を、高まるインフラニーズに対しても展開していきたい」と語った。また北中部のリーダー的な存在である同省とは、日本の地方自治体との連携も期待できるとの考えを示した。

ジェトロ・ハノイの北川浩伸所長は、「ゲアン省はまだあまり知られていない」とし、企業誘致のためまずは日系企業に同省をPRする場を設けたいと話した。また同省人民委員会のタイ・タイン・クイン主席は、これまでのODA支援や企業投資、人材送り出しの実績などを述べ、同省のビジョン達成のため「(日本企業は)一番重要なパートナー」と表した。その上で、日本企業の誘致に向けた「インフラ整備」や「風通しのいい投資環境の整備」を約束した。

このほかゲアン省に拠点を置く日本企業を代表し、木材・金属・石灰事業などを手掛ける矢橋ホールディングス(岐阜県大垣市)の矢橋龍宜社長が登壇。同省の優秀な人材を生かした事業展開を紹介した。

VSIPなどを視察


同日午前には、省内のベトナム・シンガポール工業団地(VSIP)ゲアン社などを約20人が視察に訪れ、ビジネス環境を確認した。VSIPゲアンは、同社がベトナムが手掛ける最も新しい工業団地。第1期の198ヘクタールのうち9割は成約済みで、入居25社のうち日系企業は2社という。外資系企業は中国、韓国企業が目立ち、その多くは電子部品や縫製関連。VSIPは工業団地とその周辺の都市開発を同時に進め、長期にわたり「人が集まる環境づくり」を目指す。同省の工業化はこれからだが、賃金水準の低い当地には既に多くの外資企業が注目している。

情報提供:株式会社NNA

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