Vol.23 ミシシッピ文化の中心地
カホキア・マウンド州立史跡
− イリノイ州 −

文/齋藤春菜(Text by Haruna Saito) 写真提供/NPS Photo

世界遺産とは●
地球の生成と人類の歴史によって生み出され、未来へと受け継がれるべき人類共通の宝物としてユネスコの世界遺産条約に基づき登録された遺産。1972年のユネスコ総会で条約が採択され、1978年に第1号が選出された。2020年7月現在、167カ国で1121件(文化遺産869件、自然遺産213件、複合遺産39件)が登録されている。

段々状の台地が2つ以上あるのはモンクス・マウンドのみ ©︎Cahokia Mounds State Historic Site

イリノイ州の南西、ミシシッピ川のすぐそばに位置するカホキア・マウンド州立史跡は、北アメリカ最大といわれる先住民文明の遺跡。800〜1350年頃、ミシシッピ川流域の広範囲でミシシッピ文化が栄えていた。カホキアはミシシッピ文化の政治的・経済的な中心地であり、労働組織や階級社会が形成され農業や貿易などで賑わっていた。最盛期の1050〜1150年には1〜2万人が居住していたと考えられている。これは当時の主要なヨーロッパの都市人口と同等の規模で、相当大きな町だったことが分かる。

現在、史跡として残っているのは無数の土塁だ。繁栄当時、町は居住エリア、公共エリア、特別な活動に使われるエリアなどのセクションに分かれており、土塁があった場所は墓や住居、公共の建物などさまざまな用途に使われていたと考えられている。まだ多くの謎に包まれているが、複雑で高度な階級社会が存在していたとされ、アメリカ先住民の政治や宗教を知る貴重な資料として1982年に世界文化遺産に登録された。

古代文明に想いを馳せて

モンクス・マウンドを中心に広がる町の想像図 ©︎Cahokia Mounds State Historic Site

カホキア・マウンド州立史跡で一際大きくそびえ立つのは、Monks Mound(モンクス・マウンド)と呼ばれる史跡内最大の土塁。土塁の南北の長さは954.7フィート、東西の幅は774.3フィート、高さは92.2フィートで、土台部分だけで比較するとエジプトのピラミッドをも凌ぐ大きさになる。この土塁を中心として、周囲には無数の集落や村が広がっていたと考えられている。モンクス・マウンドを中心とする一帯はセントラル・カホキアと呼ばれ、その周囲には木材の柵で作られた壁が張りめぐらされていた。壁には見張り台も設置されていたことから、セントラル・カホキアは階級の高い人々が住む重要な区画だったことが推測できる。また、モンクス・マウンドの西側にはWoodhenge(ウッドヘンジ)と呼ばれる天文台跡も残っている。これは赤杉で作られた木の柱が円状に立ち並んだ構造で、カレンダーの役割を果たしていたと考えられている。

カホキア・マウンド州立史跡にはトレイルコースがいくつかあり、歩きながら史跡を見て回ることが可能だ。周辺は自然に囲まれており、シカなどの野生動物も生息している。史跡の歴史や文明の背景をしっかり学びたいなら、ガイドツアーに参加するのがおすすめ。8月は木曜〜日曜に1日2回実施されており、所要時間は1時間ほど。9・10月もピーク時にはガイドツアーが実施される。そのほかにもiPod Touchを使ったオーディオ&ビジュアルツアーや、カセットテープを使った音声ガイドなどもあるので必要に応じて利用してみよう。

カホキアはミズーリ州のセントルイスからもほど近く、ダウンタウンから車で立ったの15分ほど。旅のついでにぜひ立ち寄って欲しい。

カホキアの歴史や数々の出土品はインタープリティブ・センターで見学可能 ©︎Cahokia Mounds State Historic Site

遺産プロフィール
カホキア・マウンド州立史跡
Cahokia Mounds State Historic Site

登録年 1982年
遺産種別 世界文化遺産
cahokiamounds.org

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齋藤春菜 (Haruna Saito)

齋藤春菜 (Haruna Saito)

ライタープロフィール

物流会社で営業職、出版社で旅行雑誌の編集職を経て渡米。思い立ったら国内外を問わずふらりと旅に出ては、その地の文化や人々、景色を写真に収めて歩く。世界遺産検定1級所持。

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