ほめられると伸びるタイプ?

突然ですが、あなたはほめられると伸びるタイプですか? それとも、厳しい指導を受けたほうが成長するタイプですか? みなそれぞれ十人十色かとは思いますが、私は間違いなく前者です。厳密にいうと、ほめられたいというよりは叱られたくないといったほうが良いかもしれません。高校時代に私は剣道部に所属していたのですが、週に1回ものすごく厳しい有段者の先生のスパルタ稽古があり、とても気が重かったのを覚えています。私のように昭和時代に部活動などを経験した人は、うんうんと頷いてくれるかも?

さて、時代を早送りして、今の時代の話をしましょう。昨今では打って変わり、ひたすらビシバシと厳しく指導するよりも、ほめて育てるアプローチのほうが高評価を受けているようです。

ユニークな一例が、三重県にある南部自動車学校です。ここはひたすらほめちぎる教習方針の自動車学校として有名で、真っ赤な練習車のボディにもばーんと「ほめちぎる教習所」と載っている、一風変わった自動車学校です。

この学校では、生徒の運転技術をとにかくひたすらほめます。たとえ脱輪しても、「大丈夫! 今ここで失敗しておいたほうが、本番でやらないからね」といった感じで、失敗をとがめたりするようなことはありません。2013年に教習方針を従来の方法からほめちぎり作戦へと変更したところ、生徒たちのモチベーションや学習態度が良くなっただけでなく、運転技術も向上したそうです。また、この自動車学校の卒業生の事故率をデータで見ると、2013年には1.57%でしたが、2017年には0.49%まで改善。これを見ると、ほめて育てるアプローチは有効のようですね。

http://www.safety-nanbu.com/index.php

私自身も、ほめて育てるアプローチの有効性を体験したことがあります。大分昔の話になりますが、以前私は社内のレクリエーションバレーボールチームをアレンジする役目を任されていたため、毎週プレイヤーを社内で招集してバレーの試合を調整していました。そもそもの目的はレクリエーションであるため、どちらかというと「試合で絶対1位になるぞ!」というよりも、社員みんなで和気あいあいと楽しもうよ、というのが当初の意図だったのですが、毎週試合を重ねていくうちに、だんだんと「どうしても勝ちたい派」と「純粋に楽しみたい派」の2組に分かれてきました。

そんなメンバーが一緒に試合をしたところで、うまくいくはずがありません。楽しみたい派の一人がボールを拾えなかった時には、勝ちたい派のメンバーは総スカン。チーム全体の雰囲気もギスギス。もはやレクリエーションどころではなくなり、最終的に2チームに分けることとなりました。

おもしろいのが、そのあとです。どうしても勝ちたい派は、メンバー全員にガンガンと厳しい指示を出してスパルタ路線。一方で純粋に楽しみたい派は、チームメンバーがボールを落としても、笑顔でドンマイ! 結局なんとそのシーズンは、後者のチームが試合を勝ち進んでいったのです。叱咤激励のアプローチをしても必ずしも好成績につながらないんだなあと、第三者からの目で見てとても興味深かったのを今でも覚えています。

あなたは今、社内でチームをリードするような役目についていますか? もしそうなら、そのチームを引っ張っていくのに、ほめて育てるアプローチを取り入れてみるのも一案かもしれませんね。

この記事が気に入りましたか?

US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします

北村祐子 (Yuko Kitamura)

北村祐子 (Yuko Kitamura)

ライタープロフィール

在米23年。津田塾大学を卒業後に渡米し、ルイジアナ大学でMBAを取得後、テキサス州ダラスにある現在の会社で勤務すること20年目。ディレクターとして半導体関係の部品サプライチェーン業務に関わるかたわら、アメリカで働く日本人女性を応援しようと日々模索中。モットーは、「鳴かぬなら 鳴かせてみせよう ホトトギス」。

この著者への感想・コメントはこちらから

Name / お名前*

Email*

Comment / 本文

この著者の最新の記事

関連記事

アメリカの移民法・ビザ
アメリカから日本への帰国
アメリカのビジネス
アメリカの人材採用

注目の記事

  1. アメリカ在住者で子どもがいる方なら「イマージョンプログラム」という言葉を聞いたことがあるか...
  2. 2024年2月9日

    劣化する命、育つ命
    フローレンス 誰もが年を取る。アンチエイジングに積極的に取り組まれている方はそれなりの成果が...
  3. 長さ8キロ、幅1キロの面積を持つミグアシャ国立公園は、脊椎動物の化石が埋まった岩層を保護するために...
  4. 本稿は、特に日系企業で1年を通して米国に滞在する駐在員が連邦税務申告書「Form 1040...
  5. 私たちは習慣や文化の違いから思わぬトラブルに巻き込まれることがあり、当事務所も多種多様なお...
  6. カナダの大西洋側、ニューファンドランド島の北端に位置するランス·オー·メドー国定史跡は、ヴァイキン...
  7. 2023年12月8日

    アドベンチャー
    山の中の野花 今、私たちは歴史上経験したことのないチャレンジに遭遇している。一つは地球温暖化...
  8. 2023年12月6日

    再度、留学のススメ
    名古屋駅でホストファミリーと涙の別れ(写真提供:名古屋市) 以前に、たとえ短期であっても海外...
ページ上部へ戻る