課外活動の重み

日米の学校や受験システムの違いで実感するのが、生徒の活動への取り組みに対して、日本では短期的な実績でも評価されることがある一方、アメリカでは長期的に見られる傾向が強いという点だ。たとえば大学受験の際、日本では不合格であれば浪人して翌年、または翌々年、挑戦する機会が与えられる。しかし、アメリカでは高校での成績を表すGPAや、課外活動やボランティアにどれだけ長期間熱心に取り組んだかが重視されるので、希望の大学に合格しなければコミュニティカレッジに進み、2年間、GPAと活動実績を積み直す必要がある。アメリカでは一発逆転が難しいのだ。

いかに課外活動やボランティアが重視されるかについては先日、それを改めて実感させられる出来事があった。某非営利団体が提供している奨学金プログラムに応募してきた高校生たちのエッセーを読む機会に恵まれたのだが、応募書類に記載されていた高校でのGPAを見る限り、それほど高得点ではない生徒が、超優秀大学に合格していたのだ。理由はエッセーを読むとすぐに分かった。その生徒は高校生が政治に興味を示すようなクラブを立ち上げ、そのファウンダー兼リーダーとして多くの高校生を率いてさまざまな活動を展開していた。活動の目的は、18歳になって選挙権を手にした時に1人でも政治に目覚め、投票する人口を増やすことだとエッセーに書いてあった。今はそのクラブを次の世代に引き継ぐために新しいリーダー育成に力を注いでいると締めくくられていた。大学のアドミッションのスタッフなら「こういう目的意識が高く、自立した、長期的視野に立って行動できる学生が欲しい」と思うに違いない。

さらにはるか昔に、アメリカ人の塾の講師に取材した時のことも思い出した。「大学申請時に提出するGPAは高校何年生からの成績ですか」と聞いた私に対して、確か2年生からと答えた後で彼女は次のように続けた。「でも、それは積み重ねの結果なのです。小学生、中学生とあまり成績が良くなかった生徒が、高校2年生から急に成績がアップすることはありません。小学生時代から地道に頑張って勉強する習慣を身に付けた結果として、高校での成績も維持できるのです」。納得した。

インターン開始

さて、ニナは高校時代、あまり課外活動に熱心とはいえなかった。スポーツもやっていなかったし、ボランティアの時間もそれほど蓄積できなかった。そこで大学1年生の現在、日本語の文章を英語に翻訳するプロジェクトのインターンを開始した。ささやかな大学デビューだ。そのインターンは、自分でネット検索して見つけてきた。そして、試験のための翻訳文提出の際には、英語力で高校時代に一番信頼していた友達にレビューしてもらい、無事にそのポジションに就くことができた。

以来、月に1本ずつ日本語の文章の英訳を提出し、それをニナのようなバイリンガルのプルーフリーダーがチェックして疑問などあれば話し合い、修正して仕上げるのだという。そして先日、私にそのプルーフリーダーと意見が合わないと相談してきた。聞けばニナの解釈とプルーフリーダーのそれとが異なっているということだった。前後の脈絡から判断して、私はニナの解釈のほうが正しいと思うと答えた。それを聞いて自信を得たニナは諦めずに再度意見を伝えたようだ。その2日後、「この間相談した件だけど、やっぱり私の解釈が合っていたって。プルーフリーダーがそう言ってきたよ」と報告してきた。私は解釈が正しかったという事実よりも、シャイな性格の彼女が折れずに主張し続けることができたことが嬉しかった。そして、課外活動でもボランティアでも、このような経験をできるだけ長く続けることで、いろんなことを学んで欲しいと願っている。

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福田恵子 (Keiko Fukuda)

福田恵子 (Keiko Fukuda)

ライタープロフィール

東京の情報出版社勤務を経て1992年渡米。同年より在米日本語雑誌の編集職を2003年まで務める。独立してフリーライターとなってからは、人物インタビュー、アメリカ事情を中心に日米の雑誌に寄稿。執筆業の他にもコーディネーション、翻訳、ローカライゼーション、市場調査、在米日系企業の広報のアウトソーシングなどを手掛けながら母親業にも奮闘中。モットーは入社式で女性取締役のスピーチにあった「ビジネスにマイペースは許されない」。慌ただしく東奔西走する日々を続け、気づけば業界経験30年。

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