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米国居住者が今からでも加入可能な日本の公的年金
- 2021年12月19日
人生100年時代という言葉が定着してきましたが、老後生活に欠かせない年金について、今回は米国(海外)居住者でも年齢によって加入可能な日本の公的年金について紹介します。
1.日本の公的年金制度
まず日本の年金の種類から紹介すると、年金には国民年金と厚生年金があります。厚生年金はサラリーマンや公務員※1などが就労先企業・団体を通じて加入するものです。就労者が加入するという意味では米国年金(Social Security)に似ています。それ以外の人々(自営業者、無職、学生など)が自分で加入するのが国民年金となります。日本の居住者(住民登録している人)で厚生年金に加入していない人は加入が義務となります。
2.加入年齢
厚生年金は企業の従業員であれば70歳まで加入できます。一方、国民年金は20~60歳が加入対象期間であり、この40年間(480カ月間)が国民年金保険料を納付することができる最大月数(年金受給額は満額)となります。60歳時点でもし納付月数が480カ月に達していない場合は60歳以降65歳までの間に引き続き加入することができます。これを「任意加入」といいますが、内容的には通常の加入と何も変わりはありません。
3.海外在住者が加入可能な年金
海外在住者(厚生年金に加入する日系企業の駐在員を除く)の場合、上記の国民年金の任意加入が可能です。ただし対象は20~65歳(保険料の納付期間が480カ月になるまで)の日本国籍の人となります。米国籍取得者(日本国籍を放棄していない者を含む)は加入できません。米国年金に加入していても両方加入することができます。
4.その他加入可能な年金
国民年金には追加で加入できる「付加年金」と「国民年金基金」があります。追加加入なので65歳までの国民年金任意加入者が対象となります。
付加年金は毎月の国民年金保険料に一律400円(年間4800円)を追加で支払うことで年金に上乗せされます。反映される年金受給額ですが、「200円×付加保険料納付月数」で計算されます。たとえば1年間保険料を払うと年間の受給額が「200円×12か月=2400円」増えます。つまり1年間4800円の付加年金保険料を納付すると老後の年金額が2400円増えるので、年金受給後2年で元がとれます。国民年金(基礎年金)の元を取るのに10~11年かかるのに比べるととてもお得な年金となります。ただし欠点はこの通り少額であることです。
一方、国民年金基金は月額の掛け金(保険料)が6万8000円まで加入可能な年金で、終身タイプ(国民年金同様生涯受給可能)と確定タイプ(受給年数が決まっている)があります。保険料は加入口数によって決められ、両方のタイプに加入することもできます。保険料と将来の受給額については、運営団体(国民年金基金連合会)の年金額シミュレーション※2を利用して確認しますが、納付した保険料の元を取るのにかかる期間は(前述の)国民年金の10~11年よりも長くなります。そのため利用者数は決して多くはありません。
付加年金と国民年金基金の両方に加入することはできません。どちらか一方のみの加入となります。
5.個人型確定拠出年金(iDeCo=イデコ)
iDeCoは公的年金でなく、公的年金にプラスして給付を受けられる私的年金制度の1つで、加入は任意となります。加入の申込、掛金の拠出、掛金の運用のすべてをご自身で行い、掛金とその運用益との合計額をもとに給付を受け取ることができます。そういう意味では確定給付型(将来の受給額が決まっている)の国民年金基金とは異なり、米国の401kに近い制度といえます。加入できるのは国民年金基金と同様国民年金(任意加入を含む)に加入している65歳までの人になります。掛け金の限度額は月額6万8000円(主婦(夫)は2万3000円)で、国民年金基金と併用できますが合計額の上限が6万8000円となります。
6.加入手続き
加入のための窓口ですが、付加年金は国民年金と同じく日本年金機構(全国の年金事務所)、国民年金基金は国民年金基金連合会(各都道府県にあり)、iDeCoは各金融機関となります。
iDeCoは運用対象、手数料、サポート内容などが金融機関によって異なるので、事前にリサーチが必要です。
米国居住者の場合、老後の資産形成については米国年金や米国での運用が基本になるかと思いますが、経済的に余裕があれば日本の年金も検討してみてはいかがでしょうか?
※1:一般的に正社員(正規社員)のみ加入対象となります。また公務員や学校関係者等は厚生年金の一部である共済年金に加入します。
※2:こちらから確認可能:https://www.npfa.or.jp/check/simulator.html
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