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日米公的年金にかかる税金
〜外国で受給する際の源泉徴収税〜
- 2022年2月23日
今回は日米公的年金を相手国で受給する際、自動的に税金が控除される(差し引かれる)源泉徴収税について紹介します。
年金にかかる源泉徴収とは
税金についてあまりご存知ない方もいるかと思いますので基本的な部分から説明すると、源泉徴収とは年間の所得にかかる税金(所得税)を事業者等が給与、年金、配当金からあらかじめ差し引き、日本の税務署やIRS(米国の税務署)へ納付することをいいます。この仕組みがあることで、給与所得者や年金受給者は毎年自分の所得の確定申告を行う必要がなくなり(ただし年末調整やタックスリターンなど納税額の調整は必要です)、税務署やIRSとしても税金をきちんと徴収することができるわけです。
老後にもらう老齢(退職)年金も収入(所得)になりますので、障害年金など一部を除き源泉徴収の対象になります。
1.日本の年金を米国居住者が受け取る場合
年金事業者(日本年金機構、各共済組合など)は、日本国内および国外居住者に対して年金を支給する際、一定額を超える分に対し源泉徴収します。国外居住者(米国居住者)の場合、一定額というのは65歳未満が年間60万円(月額5万円)、65歳以上は114万円(月額9.5万円)で、税率は20.42%です。米国居住者は日本の年金を受給するとその年の所得として翌年米国で確定申告する必要がありますから、日米両方で納税することになります。これを回避するため、日本の年金請求時に「租税条約に関する届出書」という書類を提出することで源泉徴収が免除されます※1。つまり居住国(米国)で申告納税するので、日本側での源泉徴収を免除してもらうわけです。
米国居住者の場合、この書類の他IRS発行の居住証明書(IRS Form 6166)の提出も必要なのですが、取得に時間と費用がかかるためやや面倒です。
私どもで日本の年金申請のお手伝いをした米国居住者を見ると、日本での年金加入は渡米前の限られた期間(数年〜15年)のケースが多く、年金支給額が上記の一定額を下回っているので「租税条約に関する届出書」を提出する人は少ないです。
2.米国年金(Social Security Benefit)を日本居住者が受け取る場合
米国社会保障局(Social Security Administration、以下「SSA」)は、米国籍や米国永住権を持たない米国非居住者に対して米国年金を支給する際に源泉徴収します。言い換えると、米国で米国年金を受給する間は原則源泉徴収されませんが、永住者(グリーンカード保有者)が日本へ帰国(移住)後に永住権を返納した場合や、米国籍の人が帰国後に日本へ帰化して米国籍を放棄する場合は源泉徴収の対象となります。税率は30%です。日本に住む日本人は、税務上の永住者として米国年金を含め世界中の所得が日本での税務申告対象となりますので、日米両方で二重払いすることになります。これを回避するため、永住権返納時にIRS Form W-8BENという書類を提出することで源泉徴収が免除されます※2。つまり、居住国(日本)で申告納税するので、米国側での源泉徴収を免除してもらうわけです。
上記の1と2について、混同しないよう下記の表にまとめてみます。
項目 | 1.米国居住で日本の年金を受給 | 2.日本居住で米国の年金を受給 |
---|---|---|
年金支給者 | 日本年金機構、各共済組合など | SSA(米国社会保障局) |
源泉徴収の対象者 | 受給額が一定以上の人 | 帰化後米国籍を喪失した人、または永住権を返納した人 |
税率(2021年) | 20.45% | 30% |
源泉徴収免除のための提出書 | ①租税条約に関する届出書 ②特典条項に関する付表 ③IRS Form 6166 |
IRS Form W-8BEN |
今後、日米の年金を請求する際や、米国から日本へ永住帰国する際に詳細を知りたい場合は、ご自身で各保険者(年金支給者)へご確認ください。日本の年金については日本年金機構や各共済組合が、米国年金についてはSSAや(日本帰国後は)米国大使館年金課が問い合わせ先となります。
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