海外教育Navi 第95回
〜インター校で外国人の友達を作るには〜〈前編〉

記事提供:月刊『海外子女教育』(公益財団法人 海外子女教育振興財団)

海外勤務にともなう子育てや日本語教育には、親も子どもも苦労することが多いのが現状。そんな駐在員のご家族のために、赴任時・海外勤務中・帰任時によく聞くお悩みを、海外子女教育振興財団の教育相談員等が、一つひとつ解決すべくアドバイスをお届けします。


Q.インターナショナルスクールに通っています。もっと外国人と接したいのですが、日本人同士のつき合いから抜け出せずにいます。どうしたらいいのでしょうか。

世界中からいろいろな背景を持つ子どもが集まってきているのがインターナショナルスクールです。そのなかで、共通の文化を持つ者同士が強く結びつくのは当然でしょう。入学したインターナショナルスクールに日本人の子どもがいて友達になれたとしたら幸運なことです。

インターナショナルスクールに入ったばかりのときは不安でいっぱいで、友達のことを気にする余裕もなかったことでしょう。そのあなたが、さらに友達の輪を広げて、新しい世界に踏み込んでいきたい気持ちになったとしたら、それはあなたが1つのステップを上ったということでしょう。

やはりあいさつから

人と人とのつながりはやはりあいさつから始まるといってよいでしょう。その日初めて会ったときに “Hi!” とか “Hello!” とか声をかけることができたら、第一歩です。なかなか声が出なかったら、顔を見てうなずくだけでもいいのです。そのうち声が出るようになるでしょう。

名前を覚えたら、 “Hi, John!” “Hello, Ashley! ” のように、あいさつに相手の名前をつけましょう。先生に対しても、 “Good morning, Mr. Goldstein” のように名前をつけて言うのがよいのです。言いにくい名前もありますが、はっきり発音できなくても問題ありません。日本語でも、「たなかせんせい、おはようございます」とはっきり発音するのは特別な場合で、ふだんは「たあかせえせ、おはあやあす」のように崩して言うことが多く、その方がむしろ自然なのです。みんながどんなあいさつを交わしているかをよく観察していると、あなたが使いやすい言い方が見つかるでしょう。

わざと日本語で「おはよう」と言って注意を引き、会話のきっかけにした人もいます。すると次の日、 “Ohayo! ” と声をかけられたそうです。日本人が多い学校だったら「おはよう」ぐらいは知っている人が少なくないかもしれませんが。

少し顔なじみになったら、「I like your……」という表現が便利です。隣の席の子のシャツに犬の絵が描いてあったら “I like your dog. ” などと言うのはどうでしょう。散髪してきた人に “I like your haircut. ” は、大人もよく使います。I(私)とyour(あなたの)が入る文章を口にすることで、なんとなくふたりがつながっている感じが生まれるのです。
もしあなたが中学生の男の子で、ちょっと気になる女の子がネコ柄のバッグを持って来たときに、 “I like your cat. ” と話しかけて “Do you? Thank you. ” という返事が返ってきたら、ふたりの関係がそのまま進展しなかったとしても、学校に行くのが何倍か楽しくなるでしょう。

「無視されたら落ち込みそう」と思うかもしれませんが、そのときは「あんな態度の悪い子は相手にしてやらない」と居直ってしまいましょう。もっとも、お互いに第一印象がよくなかったのに、あとになってとてもよい関係になることは珍しくないのですが。

どちらにしても、あなたの人生のなかで忘れられない貴重な経験になるでしょう。

毎日の授業のなかで

誰かと友達になるには、自分がここにいることを認めてもらわなければなりません。授業中にも、そんな機会がたくさんあるはずです。

慣れないうちは授業中に発言できる機会はあまりないかもしれませんが、まったくないとはいえません。たとえば計算の問題なら数字だけですから、答えられるのではありませんか。かりに正解できなくても、新しい環境で懸命に学習に取り組む姿は先生にも評価され、クラスメイトによい印象を与えるでしょう。私なら、外国から来た同級生が必死に授業に取り組んでいる場面を見たら、ひとこと話しかけたくなります。

体育や音楽、美術などの授業ではことばのハンディキャップを感じないで済む場面が少なくありません。逆上がりをやってみせたら「オリンピック選手か」と言われたという人がいました。教科の学習内容は国によって違うので、日本では普通のことでもそれを経験していない同級生がいるのです。日本の学校ではいろいろな技能の基本を大切に身につけるので、意外なところにアピールのチャンスがあるかもしれません。

グループでの活動には、積極的に参加しましょう。話し合うために机を移動したり、使った道具を片づけたりなど、ことばが十分でなくてもできることはいろいろあります。その場を共有すること、1つの目的で体を動かすことで、心の距離は縮まっていきます。

→「第96回 〜インター校で外国人の友達を作るには〜〈後編〉」を読む。

今回の相談員
佐々 信行

1971〜92年、横浜市立小学校教諭(1974〜77年、ハンブルグ補習授業校教諭)。1992〜2001年、バージニア州グレートフォールズ小学校イマージョンプログラム教諭(同時にワシントン補習授業校教諭)。長女はドイツ生まれ、長男はアメリカで中高時代を過ごす。2001〜08年、啓明学園初等学校校長。2008〜14年、啓明学園中学校高等学校校長。

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公益財団法人 海外子女教育振興財団 (Japan Overseas Educational Services)

公益財団法人 海外子女教育振興財団 (Japan Overseas Educational Services)

ライタープロフィール

昭和46年(1971)1月、外務省・文部省(現・文部科学省)共管の財団法人として、海外子女教育振興財団(JOES)が設立。日本の経済活動の国際化にともない重要な課題となっている、日本人駐在員が帯同する子どもたちの教育サポートへの取り組みを始める。平成23年(2011)4月には内閣府の認定を受け、公益財団法人へと移行。新たな一歩を踏み出した。現在、海外に在住している義務教育年齢の子どもたちは約8万4000人。JOESは、海外進出企業・団体・帰国子女受入校の互助組織、すなわち良きパートナーとして、持てる機能を十分に発揮し、その使命を果たしてきた。

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