- Home
- ライフ
- アメリカ不動産最前線
- 【ニューヨーク不動産最前線】レジデントマネージャー
【ニューヨーク不動産最前線】レジデントマネージャー
- 2024年5月1日
コンドミニアムやコープといった集合ビルにはレジデントマネージャーもしくはスーパーインテンダント(通称スーパー)と呼ばれる管理人がいます。管理人といっても日本のマンションの管理人のイメージとは違い、スーパーはビルの全責任者でありビルのスタッフ全員の統括・管理を行うホテルの総支配人のような立場です。スーパーはビルの円滑な運営にとって重要な役割を果たします。
コンドミニアムやコープの運営は住民から選ばれたボードが行いますが、実務についてはボードが選定した管理会社に委託されています。管理会社はファイナンシャルや事務的業務を請け負い、ビル内での日々のマネージメントやハード面でのメンテナンスを取り仕切っているのがスーパーと呼ばれるレジデントマネージャーです。
スーパーの仕事は多岐にわたります。建物の維持管理やメンテナンス、また、エレベーターや共用部、機械室などの定期的なメンテナンスも行います。ニューヨーク市の法令に従って定期的な外壁検査を行うことはすべてのビルに課せられた義務で、この遂行もスーパーがコーディネートする必須業務です。この作業は大掛かりなものが多く、ビルの大きさによっては数カ月から数年かかることもあります。
さらに、スーパーは居住者の窓口としても機能します。居住者からの質問やアパート内での問題に対処する役割を果たし、停電や配管の問題などの緊急事態が発生した場合には、これらの緊急対応を行います。害虫やゴキブリが出現した場合は、すぐに専門の駆除業者を呼ぶことも彼らの責務です。
建物内でリノベーションや改修工事が行われる場合には、スーパーがコントラクターや業者を監督する役割も担います。建物への入館者管理も彼らの責任下にあり、フロントデスクで対応できない場合は、部外者の建物への立ち入りの許可を判断することも彼らの役割です。
レジデントマネージャーはその名前の通り、居住者のためのマネージャーです。彼らはビル内に住まいとしてアパート一室を与えられ、常に居住者と連絡を取り合えるようにしています。信頼できるスーパーがいるかどうかはビル全体の価値に直結します。彼らの24時間対応の仕事は非常にハードで専門知識も必要です。そのため、優秀なスーパーは引く手数多の存在で、実はより良い待遇を求めて別のビルに移るスーパーも多いのが現状です。
私は信頼できるスーパーがいるビルは、住民にとって安心・安全な環境を提供し、ビルの価値を高めると考えています。実際のアパート探しの時にはスーパーに会ったり仕事ぶりを見たりすることはできませんが、ビルのスタッフの対応や、共用部分の手入れの具合などから、ある程度はスーパーのレベルを想像することができるかもしれません。
この記事が気に入りましたか?
US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします