日本で就労経験が積める「JETプログラム」 概要とその後のキャリア
- 2022年11月10日
「I got accepted into the JET program and moved to Japan!!!」
そんな風に、日本での就労経験を、目を輝かせてお話くださる日英バイリンガルの方々とお話させていただく機会が頻繁にあります。皆様のまわりにも、JETプログラムを通して日本に住んだことのある方がいらっしゃるのではないでしょうか?
今回は、JETプログラムの概要とその後のキャリア形成に関してご紹介したいと思います。
参加をご検討の方はもちろん、JETプログラムを終えアメリカで就職活動をされている方、バイリンガルの友人や同僚に知識を共有してあげたいという日本ご出身の方など、皆様の役に立つ記事になれば幸いです。
1. JETプログラムとは
概要
JET プログラム(The Japan Exchange and Teaching Programme │ 外国青年招致事業)は、日本教育の国際化を促進させることを目的とし、外務省・総務省・文部科学省・CLAIR(財団法人自治体国際化協会)の協力のもと1987年に開始されました。地方自治体が、英語を母語とする大学卒業者を日本に招致し、英語教育の充実と地域の国際交流の推進を図っています。
事業開始以来30年以上に渡り 合計75ヶ国から7万人以上が参加した当プログラムは、世界最大の国際交流招致事業だと言われています。以下から見て取れるよう、中でも米国からの参加者は群を抜いて多いです。
職務内容
JETプログラム参加者は、以下3つのいずれかの任務を担当します。
1. 外国語指導助手|ALT(Assistant Language Teacher)
学校または教育委員会に配属され、外国語担当教員の助手として、授業や課外活動のサポートに従事。JETプログラム参加者の90%が、ALTとして活躍している。
2. 国際交流員|CIR(Coordinator for International Relations)
地方公共団体の国際交流担当部局等に配属され、国際交流活動に従事。翻訳・通訳をはじめ、異文化理解のための特別講座や国際交流事業の企画・実施などが含まれる。業務で日本語を使用することが多いことから、他2職種と比較し高い日本語能力が求められる。※詳しい要件は、後述。
3. スポーツ国際交流員|SEA(Sports Exchange Advisor)
地方公共団体に配属され、運動競技における指導に従事。スポーツを通した国際化の促進やスポーツ関連事業の企画・実施などが含まれる。参加者全体のうちSEA該当者は1%以下と、非常に少数。※詳しい要件は、後述。
2. 応募に関して
応募にあたり、興味・関心面を除いた留意したい点は以下の通りです。詳しくは、こちらの公式な情報をご確認ください。
一般要件
- アメリカ国籍を有すること。永住権保持者は該当しない。日本国籍を有する者は参加同意書提出期日までに日本国籍の離脱届が必須。
- 出発までの過去10年、日本に合計6年以上にわたり日本に居住していないこと。
- 応募年より過去3年の間にJETプログラムに参加していないこと。かつ、過去の参加累計期間が6年以下であること。
- 学士以上の学位取得者、又は来日までに取得見込みであること。
- 前年度JETプログラムに合格し、配置先決定の通知後、辞退した者でないこと。
- 英語の標準的な発音、リズム、イントネーションを身に付け、正確かつ適切に運用できる優れた語学力を有していること。
特別要件
- CIR:日本語能力試験(JLPT)N1〜2レベル相当の実用的な日本語能力を有すること。
- SEA:募集選考地国の国内オリンピック委員会、もしくは他の政府組織による推薦などを有すること。
応募方法
JETが発表している大まかなスケジュールは上記の通りです。詳細なスケジュールは参加国によって異なりますので、ご希望の方は自国の日本大使館にお問い合わせください。
応募はオンラインで可能です。こちらのポータルよりアカウントを作成の上、アプリケーションならび必要書類の提出、選考状況の確認が可能です。米国内応募者の面接は、これらの19都市の希望地にてインパーソンで実施されます。
通過率
例えば、2019年の新規参加者数は2,091人でした。かなり大人数だと感じる方もいるかもしれませんね。
しかし、実際はとても狭き門です。国や年によりばらつきがある為正式な合格率の統計は出ていないものの、アメリカの場合応募者の5人に1人(約20~25%)のみが日本行きのチケット手にできると言われています。
よくある質問
よく受ける質問を以下にて抜粋しご紹介します。
まず、年齢に関しては制限はありません。配偶者、お子様の同伴は可能です。
また、配置先に関してはご自身の意志ではコントロールできません。応募時に希望を出すことはできますが、決定権はプログラム主催者側にあり、また決定後の変更はいかなる理由があっても不可だとされています。「絶対に東京に住みたい!」「田舎暮しを体験したい!」という皆さんの思いは、運次第となってしまうということです。
その他のよくある質問は、こちらをご覧ください。
3. 待遇に関して
在留資格
合格者は、日本国大使館もしくは総領事館より3年間の就業ビザが発行されます。ビザは出発の概ね一か月前より発給開始となります。任期は基本的に1年ですが、参加者と任用団体が合意した場合には原則として合計3年間まで可能です。
ただし特に優れていると認められた方については、最長5年間の滞在・就業が認められます。
報酬
過去10年以上に渡り、報酬は以下の通りに設定されております。
(※為替レート 1 USD = 115.131 JPY 2022年3月1日付け)
- 1年目: 336万円 │ 約 $29,121.00
- 2年目:336万円 │ 約 $31,201.00
- 3年目:390万円 │ 約 $33,801 .00
- 4年目以降:396万円 │ $34,321.00
上記に合わせ、行き帰りの渡航費はJETプログラム側持ちとなります。
しかし、以下は参加者自身での負担ですので留意しましょう。
- 住居
- 保険(健康保険・厚生年金・雇用保険・JET傷害保険)
- 携帯、ネット環境、車などの移動手段
- 個人で必要な処方箋、医療費など
労働形態
- 就労時間:月曜日~金曜日 週35時間
- 有給休暇:年間10日程度
4. JETプログラム参加後のキャリア
弊社では、これまで多くのJETプログラム参加者の米国帰国後の転職活動のサポートをしてまいりました。
帰国後の地域やプログラム参加までの経緯は多種多様ですが、皆さん共通しているのは、日本で習得した言語的スキル・文化的理解と元来お持ちのハードスキル・ソフトスキル(学位・パーソナリティなど)を掛け合わせて尽力できるポジションに就いているということでしょう。
Aさんの例:2年間長野県でALTとして活躍 ⇒ 実家のあるインディアナ州に帰国
グローバルビジネスの学位、外向的な性格、そして中西部ならではの業界傾向を活かし日系自動車メーカーの営業職に就職
Bさんの例:2年間群馬県でALTとして活躍 ⇒ 日系企業の多いカリフォルニア州を選択し帰国
高度な日本語力、対人ススキルを活かし、日系のファイナンス企業のカスタマーサービス職に就職
人材会社・リクルーターの利用に加え、米国JETアルムナイ・アソシエーション(USJETAA │ JET Alumni Association of the United States of America)を通し、同窓生と繋がることで有益な情報を得られるかもしれません。参加者向けのキャリアフェアなども、役に立つはずです。
過去の参加者による情報も、WEB上に無数に存在します。興味の有る方はぜひ、情報収集してみてはいかがでしょうか。
- JET Programme Alumni Testimonials
- 25 Reasns To Join the JET Program
- Is the JET Program Worth It? Pros VS Cons
- How To Get A Job On The JET Program
- What is the JET Program? Is it Worth it? – JET Program Explained
- Everything you need to know about teaching English in Japan
STS Careerは日英バイリンガルの皆様のアメリカで就職・転職サポートを専門としています。JETプログラム参加後の皆様、参加経験のあるご友人がおいでの皆様、ご相談事があればぜひ気軽にお声がけ頂ければ幸いです。
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